2006年10月03日(火) |
ワシも泣きたいよ・・・ |
歯科医院にはいろんな患者さんが来院します。老若男女、様々な経歴、職業の方が来院されます。うちの歯科医院もそんな歯科医院の一つなのですが、来院される患者さんの中には治療を行うのに一苦労という患者さんがいるものです。
先日もそんな患者さんが来院しました。患者さんは診療室に入るなり、いきなり泣き叫ぶのです。
「ここにすわるの、いやだよおぉぉぉぉぉ・・・・・・・・・!」
問題の患者さんは5歳の患者さんでした。お母さんに連れられてやってきた患者さんRちゃん。Rちゃんは以前から奥歯にむし歯があることはわかっていたそうですが、お母さんの仕事の都合でなかなか歯科医院を受診することができず、今に至ったそうです。治療を行う前から、診療室に入るなり、大泣きです。
気持ちはわからないではありません。大人でさえ歯科医院というと遠慮したい場所の一つに挙げたい場所の一つです。歯科医院イコール怖い場所という先入観は多くの人が持っているものです。そんなイメージを少しでも払拭しようと僕ら業界人はそれなりに努力はしています。この”歯医者さんの一服”ホームページも歯医者に対するイメージ、印象を少しでも変えたいという気持ちがあって立ち上げたサイトであるわけですが・・・。
5歳の子供では、いくら治療前であっても何となく違和感を感じる子供もいます。いやむしろ多いかもしれません。その気持ちをダイレクトに歯医者に表現する場合もあります。歯科医院の診療室に入るなり大泣きし、診療を嫌がるのも無理はありません。
そんな場合、無理して診療をしようとしても仕方がありません。少しずつ歯医者の雰囲気に慣れるよう、気持ちの緊張を解くように仕向けるよう策を講じながら、タイミングを計って治療に進んでいくようにします。急がば回れといいますが、泣き叫ぶ子供を無理して強制的に行おうとすると、思わぬトラブルに巻き込まれたりして治療にリスクを伴います。また、変に心理的恐怖やトラウマを生じさせてもいけません。その後の治療に差支えがでてきます。場合によっては母子分離といって親御さんと子供を分けて治療を行うこともしたりします。
むしろ、症状を伴う子供の場合は意外と診療しやすいものです。このような場合、恐怖感があると言っても症状を何とかして欲しいという気持ちもあるもの。そこを突いて強引に治療に持ち込んでも意外と後は平気なことが多いものです。
今回のRちゃんの場合、どうも昼寝の後の寝起きということもあってか機嫌は最後まで直りませんでしたが、少なくとも診療台の上で寝てもらい、口の中を診るところまではさせてくれました。今回はそこまでとし、次回から様子を見ながら治療を進めていくことにしたのです。
Rちゃんの治療が終わった後、ある老人の患者さんTさんが診療室に入ってきました。開口一番、
「さっきの女の子、派手に泣いておったなあ。」
「歯医者は何となく気持ち悪いイメージがあるんでしょうねえ」
と答えると、Tさん苦笑いしながら一言
「そらそうだろうなあ、ワシも泣きたいよ・・・。」
歯科医院のイメージアップにはまだまだ時間がかかりそうです。
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