歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2006年06月13日(火) 僕、私、俺、わし、自分・・・

今年2月に齢40歳になった歯医者そうさんですが、今密かに悩んでいることがあります。それは自分のことを第一人称でどのように言うべきかということです。

これまで周囲の人に自分のことを言う際、いつも使っていた第一人称は”僕”でした。”僕”という第一人称は、おそらく物心付いた頃から使っていたと思います。ということは30数年にわたって自分のことを”僕”と言ってきたことになります。この歯医者さんの一服日記でも自分のことを表す第一人称として”僕”を使ってきました。ということで、ここでは”僕”を使っていきますが、そんな僕がどうして40歳を過ぎてから第一人称を変えようと思ったかと言いますと、”僕”という言葉の響きに何となく自信の無さみたいなものが含まれているのではないかと感じたからです。

自分自身を振り返ってみると、周囲の人からは年齢よりも若く見られることが多いようです。僕が今年40歳になったことを伝えると、皆異口同音に40歳には見えないということを言ってくれます。自分のことを年齢よりも若く見られるということはある面うれしくはあるのですが、その一方で相手に甘く見られたり、未熟に見られたりしやしないかと思うこともあるのです。見た目だけで人の評価をするのは如何なものかとは思うのですが、僕自身、自分のことを必要以上に甘くみられ、なめられたりするのは、正直言っていい気がしません。それであれば、少しでも周囲にそれなりに年相応に見られるにはどうしたらいいのだろうと無い知恵を絞って考えた結果、思いついたのがいつも自分のことを指して言う第一人称を変えることでした。すなわち、長年使い親しんできた”僕”を違う第一人称に変えることだったのです。40歳にふさわしい第一人称は何か?”俺”というのも乱暴な響きがあるし、”わし”も品が無い。”わて”や”わい”もコテコテの関西系という感じで自分のキャラに合っていない。”自分”というのも旧日本軍の兵隊みたいだし・・・・。ということで最も無難な第一人称として僕が使ってみようと結論づけたの”私”でした。

そんなわけで、僕は自分を表す第一人称として”私”を使い始めました。中でも、先輩や公の場などでは積極的に”私”を使い始めたのですが、これがなかなかうまくいきません。”私”と言っているとどうも自分のことを指して言っていないかのような錯覚に陥ることがしばしば。話が込み入ったりするとついつい”私”と言えず、”僕”と言ってしまいます。

患者さんに対しても”私”と言っていたのですが、ある患者さんからは

「先生いつになく肩に力が入っておりますな、ハッハッハ・・・・」
とからかわれる始末。

僕のこれまでの経験では、今まで接してきた多くの男性の先輩の中でも、高齢にも関わらず自分のことを”僕”と言う人が少なからずいました。そのような高齢の人が言う”僕”に幼さ、未熟さといったニュアンスが含まれているかというとそうではありませんでした。むしろ、年齢の割りに若々しかったり、ウィットに富んだ響きや格好良さ、ダンディささえ感じることがありました。日本人はどんな第一人称を使おうが似合うものは似合う、似合わないものは似合わない、使う人次第であるのだろうとは思っています。

そのようなことを感じてはいるのですが、一度使い出した”私”をそうそう引っ込めるわけにもいかないというのが今の僕です。無理してでも”私”を使い続けていれば自ずと”私”が自分のものになるだろう。そんなこだわりを持って今しばらくは、”私”を使っていこうと考える歯医者そうさんです。

ただし、歯医者さんの一服日記では自分を表す第一人称として”僕”を使い続けていくつもりではおります。歯医者さんの一服日記での歯医者そうさんは”僕”が似合っているのではないかなと思うからです。

賢明な読者の皆さんにおかれましては、よくもそんなくだらないことにこだわっているなあと呆れられる方が多いかもしれませんね。


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