歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2006年06月06日(火) 診療用ライトのトラブル

昨日は月曜日、言わずと知れた一週間の始まりの日でした。

”これから新たな一週間が始まる。気持ち新たに頑張ろう”と思いながら診療の準備をし、最初の予約の患者さんを診療室に招き入れた時に問題は起こったのです。診療室に入ってこられた患者さんに診療台上に横になってもらい、いざ治療を始めようと口の中を照らす診療用ライトのスイッチを入れようとしたのです。ところが、スイッチをオンにしてもライトは一向に明るくなりません。何回かスイッチのオン、オフを繰り返しましたが、ライトは全く明るくなりません。僕は診療開始前に点検した際には診療用ライトはちゃんとついていました。ところが、いざ診療を始めようとしたその瞬間、診療用ライトがつかなかったのです。直ちに僕は診療台を含め、周囲の電気機器類の電源を確認しましたが、どれも正常に作動していました。それならばと思い、急いで診療用ライトのカバーを取り除き、中の電源球を確認すると、電源球の電線が切れていたことがわかりました。

口の中は想像以上に暗い場所です。いくら室内が明るかったとしても周囲を粘膜で被われ、開口することにより中に入る自然光だけでは十分に歯をみることができません。それならば懐中電灯で口の中を照らせばいいと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、懐中電灯の明るさは暗いものですし、診療用ライトが復旧するまで懐中電灯をスタッフに持たせることはできません。しかも、事が起こったのは週の最初も最初、いきなり一週間のトップバッターである患者さんの治療開始前に起こったのですから、正直言って僕はあせりました。

ところで、室内の明るさを表す単位にルクスというのがあります。教科書的には1ルクスとは1国際燭光の光源から1メートルの距離の光の方向の垂直な面の明るさである定義されています。これでは何のことかよくわかりませんので具体例を示しますと、

居間や応接室、座敷などの明るさ 30〜75ルクス

食堂や台所の明るさなると50〜100ルクス

図書室の明るさなると100〜200ルクス

教室や研究室に必要な明るさ200〜500ルクス

診療室になると500ルクスが必要なのですが、手術室となると更に明るさが必要で500から1000ルクスが必要となります。手術という精密作業を行うにはそれくらい十分な明るさ必要なのです。これが口の中の場合、更に明るい環境が必要で、特別精密作業並みの照度が必要なのです。具体的には3000ルクスぐらいとなります。歯科治療では、室内を照らす電灯と備えつきの診療用ライトを併用することで3000ルクスの照度を得ているのが現状です。従って、備え付けの診療用ライトが故障し、使用できないとなると途端に歯の治療はストップせざるをえないのです。

それくらい明るい光源の元で歯医者は仕事をしている関係上、歯医者は目を酷使すると言っても過言ではありません。僕はできる限り昼の時間に休みを取るようにしていますが、これは単に体力の回復という意味ではなく、目を休めるために時間を当てているといっても過言ではありません。僕は視力が弱い僕は、こうでもしないと視力を維持することができません。目が見えなくなるということは、僕にとっては死活問題ですから。まあ、目の健康問題はどんな方にとっても死活問題ではありますが。

そんな突発的に起こった診療用ライトの電源球のトラブルですが、幸い事前に買っていた交換用ライト電源球がありましたので直ちに交換し、使用できるようにし、事なきを得たつもりです。ただ、このライト電球交換は普段あまりしないことですから、時間に手間取ってしまい、患者さんに迷惑をかけてしまったのは心苦しい限りでした。今回の診療用ライトのトラブルはまるで一週間の仕事の最初に出鼻を挫かれたような感じで、幸先悪い週明けとなってしまった、歯医者そうさんでした。


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