歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2006年05月31日(水) 歯医者は痛くなる前に行くところ

5月から6月にかけ、全国の幼稚園、小学校、中学校、高校で歯科検診が行われていますが、これら検診の成果は生徒たちの歯の健康への関心を高め、歯の健康を改善することに役立っています。そのことは種々の歯科疾患の調査結果により明らかとなっているのですが、高校を卒業してしまうと一部の企業、組合を除き歯科検診はありません。高校までのように一年の行事の一環としての歯科検診がないのが実情です。いざ歯科検診を受けたくても実際に歯科検診を行っているのは、一般の歯医者しか行っていないのが現状です。

僕は常々皆さんにかかりつけの歯医者を持つことを勧めていますが、その理由がここにあります。単に歯が悪いから歯医者へ行くのではなく、自分の口や歯の健康維持のために利用するのが歯医者であると言いたいのです。そんな歯医者を受診するきっかけの一つが検診です。

多くの歯医者では患者さんに口や歯の健康を維持するために定期検診の案内の葉書や手紙を出しています。これら定期検診の案内をうまく利用してほしいと思います。普段何かと忙しい生活を送っている人にとって口や歯の健康はわかっているつもりでもついつい忘れてしまいがちです。そんな口や歯の健康を定期的に思い起こすきっかけとして歯医者からの定期検診の案内を利用してほしいのです。

歯医者からの定期検診の案内の葉書、手紙を見て、歯医者が商売熱心だと思われる方もいらっしゃるかもしれません。確かにそういった側面を僕は否定しません。数多くの歯科医院が乱立する時代、歯科医院では一人でも多くの患者さんを自分の歯科医院に引きとめようと一度でも来院した患者さんを定着させるために定期検診の案内の葉書、手紙、場合によっては電話やメールまで送ることがあります。それでも僕は歯医者からの定期検診の案内の葉書、手紙を無駄なものとして扱わないでほしいと思うのです。自分では適切に口の中を管理していると思っていても我々専門家からみると口の中がうまく管理がうまくいっておらず、せっかく予防できるむし歯や歯周病が皆さんが思っている以上に進行したり、予想もしていなかった場所に問題が生じていたりするものなのです。むし歯や歯周病の進行の原因は単に歯磨きだけの問題だけではなく、全身の健康状態や生活習慣などの影響を受けていることもあります。そういったところを総合的に判断し、問題点を指摘し対策を講じことができるのは、歯医者しかありません。

皆さんには歯医者を有効に利用して欲しいと思います。歯医者は痛くなってから行くところではなく、痛くなる前に行く所。そのような意識を一人でも多くの人が持ち、実践されることを願って止みません。学校の歯科検診の時期に歯医者そうさんがいつも感じることを今日は書いてみました。


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