歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2006年05月22日(月) 最低限読むことができる字を書いて欲しい!

先週の始め、地元歯科医師会で会合があったのですが、その際、先輩の先生であるH先生から僕は一枚のメモ用紙を見せられました。そのメモ用紙には手書きでいくつかのことが走り書きしてありました。

「このメモ用紙はそうさんと話をしていた時に取ったメモ用紙なんだけど、この部分が何て書いてあるか読めないのよ。どんな意味かわかるかな?」

以前、僕はH先生に地元歯科医師会での仕事の一部を引き継ぎ、その仕事の内容を口頭で伝えていました。H先生は僕が口頭で伝えた内容をメモ用紙にメモ書きしていたのですが、自ら書く字がきれいとは到底言えないH先生は、自らが走り書きした字の一部を読むことができなかったのです。そこで、僕に助けを借りて、話していた内容から読めなかった字の解読をしようと試みていたのです。幸い、前後の文脈がわかりましたので、引き継ぎの内容を思い出しながらH先生が読めなかった字は容易に解読することができました。

何だか冗談のような話かもしれませんが、歯医者を含めた医療関係者にとって、医療情報をやりとりする文書で書かれた文字が乱雑で何が書かれているか読み取れない文書に頭を悩まさせられることはしばしばあるのです。先月、僕はある内科系の病気で通院中の患者さんの主治医に医療情報の提供を求めて手紙を書いたのですが、数日後返信されてきた手紙を見て僕はわが目を疑いました。あまりにも丁寧な?走り書きのため書いてある内容を読み取ることができなかったからです。何だか酒に酔っ払いながらふざけて書いたようにも思えるような乱筆に僕は頭が痛みました。

僕自身、自分が書く字はきれいな字だとは口が裂けても言えません。特に、メモ書きの場合、他人が見れば僕が書いた文字を読むことは困難でしょう。けれども、自分流の書く字の癖は誰よりもわかっていますので他人には読めなくても何とか自分では解読できる自信があります。
一方、他人に対して文書を手で書く時にはゆっくりと丁寧に書くように心がけているつもりですし、後から読み返してみて自分が書いた文書が読めないことはありません。また、自分が書いた文書が読めないとクレームを受けたこともありません。

一見すると当たり前だと思われる読める文書を書くことですが、医療関係者の中には全くそのことを気にするそぶりさえ見せない人がいるのは悲しいことです。むしろ、”自分は忙しいのだから自分の書いた文書はちゃんと解読しろ!”言わんばかりの乱筆で書かれた文書さえあるくらいです。医療情報が記された文書は、患者さんの個人情報であり、微妙な内容が記されています。そのため、医療情報の取り扱いには細心の注意が必要であることは言うまでもないことですが、その一方、必要最低限の関係者が情報を共有せざるをえないものです。このような状況で手書きの医療情報が乱筆のために読めないというのははなはだ迷惑であり、必要以上の精神的ストレスを感じます。医療情報を手書きする際、医療情報を共有することができる関係者にも読める字を書くことは最低限のマナーだと思うのですが、そのことがわかっていない医療関係者が少なからず存在するのは如何なことかと思います。

幸い、最近ではテクノロジーの発展や個人情報の取り扱いを含め、医療情報をパソコンで管理することが多くなってきました。カルテも手書きのみならずワープロを用いるケースもしばしばですので、乱筆家である医療関係者もワープロソフトを利用することで自らの欠点をカバーすることができるようになってきたのはうれしいことだと思いますが、いつ何時手書きをしないといけない状況になるかわかりません。医療情報の場合、誰もが読み取ることができる、最低限の丁寧な字を書くよう努めることが医療関係者にとって義務ではないかと思う、歯医者そうさんです。


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