2006年05月09日(火) |
取れた歯、差し歯、詰め物は捨てないで! |
歯科医院に来院される患者さんの中には、歯に詰めていた詰め物や差し歯、被せ歯がはずれたから診てほしいということで来院される患者さんが少なからずいらっしゃいます。
”食事をしていたり、歯磨きをしていると大きな塊のようなものが取れた” ”歯と歯の間に食べかすが入りやすいと思っていた矢先、突然差し歯が脱落した” と言って駆け込んでくる患者さんの姿はどの歯科医院でも遭遇する光景です。
患者さんに取って、歯以外の異物が突然口の中に出現したわけですから、いったい何事かと思い、戸惑うことは自然なことだと思います。口の中に現れた異物は、金属の詰め物や差し歯、被せ歯かもしれません。患者さん自身の歯の欠片かもしれません。もし患者さんが入れ歯を装着しているような場合、入れ歯の人工歯やクラスプと呼ばれる歯にかける金属の一種かもしれません。 また、以前からぐらついていた歯が突然大きく揺れだし、自然に取れてしまうようなこともあることでしょう。屋外で何らかの原因で顔が衝撃を受け、歯が脱臼し、脱落してしまうこともあることでしょう。
こうした場合、歯科医院に駆け込んでくださるのは結構なことではあるのですが、歯科医院を受診される場合には、取れたものは決して捨てず、一緒に持ってきてほしいと思います。その理由は、取れたものを再利用し、再装着することができる可能性があるからです。取れた金属の詰め物や差し歯、被せ歯をセットしていた歯に何の問題もない場合であれば、適合状態や噛み合わせチェックし、調整した上で再装着することができます。天然の歯の欠片であっても、場合によっては再度接着させることもできるケースもあるのです。
再装着が無理な場合でも、取れた歯や詰め物、被せ歯などが手元にあると決して無駄にはなりません。何が原因で取れたのか探ることが可能だからです。むし歯が原因だったのか、噛み合わせが狂っていたのか、金属やセメントの材質の劣化が原因か、食習慣、喫煙、歯軋り、歯磨き習慣などの影響などを検討することができるのです。そして、これら原因を探ることにより改善点を検討し、分析し、より良い差し歯、被せ歯、詰め物を作り直すことが可能となるのです。
自分の歯であれば、怪我などで脱臼した場合であれば、再度抜歯窩に再植することも可能です。その際、脱臼した歯は乾燥させないようにしてほしいと思います。取れた歯は生理食塩水や新鮮な牛乳などに浸漬することで乾燥を防ぎ、一刻も早くお近くの歯科医院へ駆け込んでほしいと思います。生理食塩水や新鮮な牛乳などがない場合は、取れた歯は歯科医院を受診するまで口の中に入れておくというのもありだと思います。
口の中に詰め物や被せ歯、差し歯などが突然取れると誰もがびっくりするもので、どうしていいかわからず、思わず自分で処分してしまうことがあるようですが、是非取れた物は処分せず、そのまま持参して歯科医院を受診してほしいと思います。ケースバイケースで再利用し、復活させることができる可能性がありますから。決して自分勝手にあきらめないでほしいと思います。
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