歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2006年04月07日(金) ピンクスポット

”ピンク”という単語で多くの日本人が真っ先に頭に浮かぶのは、風俗関係のイメージではないでしょうか?ピンク映画といえばアダルト向けのポルノ映画のことですし、ピンク産業といえば風俗産業のことを指します。ところが、実際の英語の”pink”の意味は少々異なるようです。英語の”pink”には、健康的なイメージが含まれていることが多いようです。
例えば、
”pink cheek”となるとピンク色の頬ということから健康的な顔というイメージが思い浮かぶのだとか。決して日本語のような猥雑なイメージを思い浮かぶ人は英語圏の人にはいないそうです。

そうそう、”pink slip”といえば、ピンク色の紙ということから解雇通知を意味するそうで、必ずしも”pink”が健康的な意味ばかりではないのは確かなようです。

ところで、むし歯の治療をしていると、予想していた以上にむし歯が深いことがあります。治療開始前、歯には小さい穴しか開いていないのではないかと思っていても、実際にむし歯を除去していくと内部でむし歯が相当進行していたということは歯医者であれば誰しも経験したことがあるはずです。歯医者にとってそんな深いむし歯を治療するに当たり常に注意しないといけないのは、歯髄、いわゆる神経との位置確認です。

深いむし歯の場合、むし歯を除去していくと神経との距離が近くなります。むし歯が神経に近いような場合、歯医者は慎重にむし歯を除去していくのですが、あるところまで除去するとピンク色の部分が見えることがあります。これはどういうことかといいますと、神経が薄い歯質の状態で透き通って見える状態である、わかりやすく言うと、神経が薄皮一枚で隔たれている状態を意味しているわけです。まだ、神経は露出していないがこれ以上歯質を取り除くと神経が見えてしまうといった状態です。この状態のことを歯科業界ではピンクスポットと言います。

このピンクスポットが見えた場合、どうするか?ケースバイケースです。ピンクスポットが見えた時点でむし歯が完全に除去されている場合は、神経が過敏にならない薬やセメントを塗布してから詰め物を詰めます。一方、ピンクスポットが見えても依然としてむし歯が残っているような場合、むし歯を取り除くと神経まで露出してしまいますから、神経の処置を同時に行うケースがあります。最近では、神経の処置を施さなくてはならないくらい深いむし歯でもある種の抗生物質を混ぜ合わせた薬を塗布して経過を診てなるべく神経を残そうとする治療法もありますが、全てのケースで行うというわけではなく、ケースバイケースで神経を残す治療法を選択したり、神経の処置を行ったりします。

いずれにせよ、歯医者にとってピンクスポットが見えるというのは非常に緊張する瞬間であることは確かなことです。間違ってもピンクスポットをみて妙な方向に興奮することはありませんから。残念!


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