2006年04月06日(木) |
遺作となった100号の絵 |
昨日、うちの近くの病院で医者をしている弟から電話があったのですが、その内容に僕は絶句してしまいました。
「Eさんが息を引きとったよ。」
Eさんとは、以前こちらの日記で紹介した画伯です。うちの歯科医院に縦162.1センチ、横130.3センチという100号サイズの絵を寄贈して頂いた方だったのです。
たった2週間前には血色もよく元気そうな好々爺といった感じでうちの歯科医院を訪れたEさん。そのEさんが突然亡くなられたという話に僕は言葉が出ませんでした。
Eさんは元々循環器内科医である弟の患者でした。今から数ヶ月前、弟がカテーテル治療で心臓を治療した後、健康状態が落ち着いた時期を選び、僕にEさんの歯の治療を依頼してきたのです。何でもEさんは前歯の一部に穴が開いていたのが気になって仕方がなかったようで、歯の治療を受けたいと弟に頼んだのだとか。Eさんの健康状態が落ち着いたいたため、弟は僕にEさんの歯の治療を依頼してきたのです。
Eさんの歯の治療は、数ヶ月前のある休日に行ないました。病院の非番であった弟が側につきそい、何かあれば直ぐに対処できる態勢を取りながらEさんの歯の治療を行なったのです。幸い、Eさんの心臓の状態は落ち着いた状態で歯の治療も問題なく行うことができました。
そんな僕達兄弟の治療の連携にEさんは大変喜ばれたようで、感謝の気持ちとした描かれたのがここの写真の100号の絵だったのです。
そんなEさんが急変したのが数日前だったのだとか。
「Eさんは元々心臓が悪くて半年前に心臓の冠状動脈にステントを入れるカテーテル治療をしたんだよ。その時は治療は上手くいってEさん自身、これまでの心臓の悪さがうそのようだということを言っていたんだ。ところが、数日前、Eさんのステントを入れた冠状動脈に再び狭窄が起こったようで、うちの病院に救急車で運ばれてきた時には意識が既になかったんだ。何とか救命しようと努力はしたんだけど、力及ばずだった・・・。」
最近のEさんは創作意欲も旺盛だったそうで、うちの歯科医院に寄贈して頂いた絵の完成後、他の作品に着手し、筆を運んでいたのだとか。そんな創作活動を行っていた矢先に突然意識を失ったそうです。
まさかうちの歯科医院に寄贈して頂いた絵がきっかけとなって命を落とされたとは考えたくもないですが、結果として遺作となってしまいました。人間の命、一生とはこんなにも突然終わりを告げるものなのか?命のはかなさを痛感せざるをえなかった、歯医者そうさん。今は、ただEさんのご冥福を祈るのみです。 合掌
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