My life as a cat
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2024年02月08日(木) ママの買い物

フランスから国境を超えて着くイタリアの最初の街にお気に入りの陶器屋があった。フィレンツェの郊外の自然に囲まれた美しい村の工房で手作りされているもので、ロクちゃんには離乳食がはじまった時からここの食器で食べさせていて、一度割ってしまった時など頼み込んだら昔のコレクションでも再度同じ物を制作してくれたりした。そんな工場大量生産とは逆の人間の手によって作られる一枚ずつ違う陶器が好きで、この街に行ったら必ず立ち寄っていた。ところが、少し離れた場所に店を移すことになり、店の陶器を運ぶのが大変だから半額で売るというので、ロクちゃんと二人だけでイタリアへ行くことにした。陶器を売る店に3歳の暴れん坊と二人で行く、というかなり不安な挑戦だったが、見たい気持ちが勝って決行した。

発語が遅かったロクちゃんだが、3歳の誕生日を過ぎた頃、突然永い眠りから覚めたかのようにすごい勢いで喋りはじめた。行きたがらなかった学校へも楽しそうに通うようになり、友達ができたとか言ってその子の名前なんかを教えてくれたりするようになった。驚いたことに、バスを降りる時、ドライバーに向かって"Merci"とちゃんと挨拶したりしてる。そして陶器屋に入る。バッグから彼が酷く気に入って毎日練習してる数字ドリルを取り出し、

「絶対この店にあるものを触っちゃだめよ。ここに座ってドリルやっててね」

と言ったら、店を出るまでの30分、ダンボールを机にして、ドリルにひたすら数字を書いて練習してた。わたしはなんと運がいいのか。こうして、陶器をじっくり眺め、店の人から直通の連絡先ももらって無事に店を後にした。

ピッツァを買って公園で食べて、バルでクリームの乗ったカフェを9割ロクちゃんに奪われ、そんなこんなで無事に帰宅した。

いつの間にこの子はこんなに成長したのだろう。ちゃんと挨拶して、買い物中はカゴを持ってくれて、歩くペースも早いし、ランチに買ったピッツァはわたしよりも沢山食べる。いつまでママの買い物に付き合ってくれるんだろうか。


Michelina |MAIL