My life as a cat
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2020年10月20日(火) 母親の愛情

ここ最近、レジで並んでいると先にどうぞと譲ってもらったりすることが多くなった。電車やトラムでもわたしが近付いただけでみんなさっと席を立って譲ろうとしてくれる。辺鄙なところを散歩してると車が止まって、"町まで行くなら乗せてくよ"とオファーしてくれたり。この地域の人々ののんびりでいい加減な仕事ぶりにイライラしたりすることは多々あるけど、その代わりこの人達には時間と心の余裕がある。妊婦印のタグなんかバッグにつけなくても、優先席なんて設けなくても、個々の判断で行動することができるというところは日本の見習うべきところだろう。


まだ妊娠する前のこと。友人とお茶をしてる時、子育ての話になった。

「わたしがイマイチ理解できないのはフランス人女性は子供は作っても自らの手で育てたがらないこと。もちろん経済的にままならないから産んですぐに職場復帰する人もいるのだろうけど、そうでない人も多いよね。わたしは子供とか興味ないけど、もし産んだら自分の手で育てたいもの」

そう発言したら友人の旦那さん(フランス人)が深く賛同してくれたのだった。この彼はわたしが妊娠してからも何かと近況をあれこれ聞いてくれて、お腹に向かって話しかけたりしてくれるのだった。だが、その後、奥さんからこんな話を聞いて、なぜ彼が賛同してくれたのか解った気がした。彼の母親は若くして彼を産んで、まだ遊びたいさかりで、小さな彼を置いてどこかへ行ってしまい、結局彼は父親に育てられたのだということ。お父さんとは友達かというくらいなんでも話せる仲だといえども母親の愛情というのはまた種類の違うものだと思う。この国では母乳の味も母の手料理も知らずに育つ子供なんて珍しくないようだ。でもやっぱりわたしはどこかで母乳と手料理は母親の愛情を子供に伝える一番の手段なのではないかと思ってる。


Michelina |MAIL