My life as a cat
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2020年06月22日(月) 誰もが奇跡の子なんだ

突然のように真夏がやってきて、朝から陽がぎらぎらしてる。月に1度の検診へニースへ出る。用事があって早朝からニースにいたリュカと落ち合ってクリニックへ。このクリニックは慎重に調査して選んだ甲斐あって、受付の人も先生も技師もみんな優しくて感じがよくて、何よりシステムがしっかりしてる。前回は診察室には一人しか入れなかったのだが、今回はもう一人だけ付添いの人が入れるとのことで、リュカも一緒に入る。

エコーに映った胎児。前回は"子犬ちゃん"だったのに、もう頭とか脚の形ができてすっかり人間になってた。わたしより大声をあげて興奮するリュカ。夜になると子宮が起きて、苦しくなって、はぁはぁ息を切らせながら毎日をやり過ごしてたわたしは、しみじみ"報われた"みたいな感情で胸がいっぱいで声が出なかった。もう性器も形成されてきて、男の子だと解った。わたしもリュカも特に性別の希望はなかったけど、女の子だったら・・・服を選んだり、髪を結ってあげたりそういう楽しみがあっただろうな。男の子はこの父親みたいに着古してヨレたTシャツとジーパンで育ってくんだろう。

「経済的でよかったわ。女の子だったら服着せるのが楽しくてわたし色んな物買っちゃいそうだもん」

「そうだね。その分ママがお洒落にお金使えるからいいじゃん」

そんな会話をしながら、ふと父のことを思った。女3人がいつもぎゃんぎゃんやってる中でひとり静かに酒を飲みながらたまに息子が欲しかったとか言ってた父。初孫すら女の子だった。やっと男の子の登場に喜んでくれることだろう。そろそろ両親にも妊娠のことを伝えよう。

よく行くレストランで日替わりのランチを食べた。Ombrineという魚。地中海や大西洋側の魚らしい。最近は料理するのも辛い日もよくあって、誰かがこうやってバランスのいい料理を拵えて運んできてくれることが本当に有り難い。胎児の姿を見た日だけは幸せな気持ちになる。でも明日になったらまた体が苦しくて、そんな気持ちは忘れてしまう。でも、息絶え絶えでも握りしめてることがある。それはやっぱりわたしがこの世にこうやって生み出されて、健康に生きてられるのは紛れもない奇跡の積み重ねだっていう感謝の気持ち。妊娠してから、赤ちゃんがちゃんと生まれてくるまでには色んな障害を乗り越えているのだと知った。その過程で息耐えていく命も沢山あるんだ。それは親とか病院の努力とかでは左右できないもの。だからわたしがここにこうやって存在してるのは沢山の幸運な奇跡の積み重なりなんだ。不運が積み重なって、気持ちが辛くなって、自分なんてと躍起になって自らの命を絶ってしまう人もいるけど、そもそも不運を被るのは幸運の積み重なりでこの世に生み出されたからなんだと良いほうの側面を見て欲しいな。


Michelina |MAIL