My life as a cat
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2020年06月16日(火) スーパースロウなファストフード

ランチのハンバーガー作り。バンの生地を仕込む。発酵させてる間に具を作る。ハンバーグはカノウユミコさんの「菜菜ごはん」に載ってる黒豆ベジバーグ。これ作るたびに誰もが美味しいという大好評のレシピ。わたし自身かなり気に入っててかれこれ20年くらい作り続けてる。リュカも大好きなのでたびたび作る。茹でて潰した黒豆、玉ねぎ、生姜、マッシュルーム、胡桃、味噌、コリアンダーパウダーなんかが入ってる。これにパン粉と小麦粉を混ぜて丸めて焼く。ソースはトマトケチャップ、ウスターソース、タバスコを混ぜる。カットしたじゃがいもは水に晒してからよく拭いて、冷たい油とフライパンに入れて中弱火でじっくり火を通していく(揚げれば早いが、何せ大量の油を使って揚げ物を作る勇気はないのだ)。途中で何度かフライ返しでポジションを変えて・・・30分くらいかかるが、外はクリスピーに中は柔らかくいい具合に仕上がる。焼きたてのバンにレタスと黒豆ベジバーグとざっくり切って炒めたオニオンとソースを挟んでフライドポテトを添えて完成。思えば、パン粉、味噌、トマトケチャップ、ウスターソース、タバスコ全て手作りしたもの。化学調味料も保存料も名前を見てもそれがイマイチ何なのか理解できないものは一切入ってないし、砂糖を多用して味を誤魔化したものもない。外でハンバーガーを食べたがらないリュカもこの全て自家製のスーパースロウなファストフードだけは喜んで食べてくれる(皿は20歳の時に搭乗したノースウェスト航空でもらったフリスビー。夕飯のハンバーガーがこれに乗って出てきた)。

どんな田舎でもアメリカの使い捨て食器でゴミを大量に出すファストフード店があるような国で育ったわたしには、ここへ来てこういう店のことを殆ど知らないという人が多いことが新鮮だった。

「うーん、マクドナルドは何回か行ったことあるかな。KFCは一度だけ。スタバは一度もない」

とリュカ。

「スタバ行ったことあるよ、一度だけ。ミーハーな女友達に誘われてさぁ。マクドナルドは3日連続で行ったけど、3日目に人を中毒にするような何かの味が入ってるように感じて怖くなってやめたの」

とはドミニク。

「ほら、わたしアメリカとか嫌いだから」

とはクリスティーヌ。ペルーからの移民のドミニクの彼女は2度目のデートにKFCへ行きたいと言い、待ち合わせ場所におめかしして現れた。ドミニクは不思議に思ったが、後で知ったところによればペルーの彼女の育った貧しい町ではKFCは高級なレストランという位置付けで、特別な日におめかしして出かけるようなところだったのだということ。へ〜、面白い。リュカは英語学習のCDの中でアメリカ人が話してた"ダンキンドーナッツ"が一度食べてみたいんだそうだ。ここの人達がアメリカのファストフードチェーンの店について語るとき、その口ぶりが"そらなんだぁ?おら、そんなの知らねぇべぇ"みたいなど田舎ものみたいに聞こえて、愛らしいのと可笑しいのでついつい笑いがこみ上げてきてしまう。


午後、母と話す。昨年両親はひょんなことから隣人の土地を購入した。というのも、老齢だった隣人夫妻が亡くなり、遠方に住んでる親戚が相続したのだったが、何せ彼らには何の興味もない田舎の土地。草も伸びるし手入れするのも面倒で手放したくて仕方がなかった。母は隣家の庭の草がぼうぼうで誰も手入れに来ないしと仕方なくざっくり草刈りをしたりしてたのだが、それを見た相続人がこんなことを言い出した。

「この土地要りませんか?要るならタダであげます」

「タダって・・・。知らない人に無料で土地もらうなんて怖いわ。それにわたしは自分の土地があるから要らないわ。市役所に行って査定してもらって売りにだしてみたら?」

そう母が提案すると相続人はすぐに市役所に行き価格を聞いてきた。しかし、売りに出したりするのも面倒くさい相続人。母にその半額以下の価格で買わないかと持ちかけてきた。その額、わたしだって現金で買えるちょっと高級な自転車みたいな額。まぁ、いいか、と母は購入することにした。こうして、実家の土地は倍になった。大して興味もないまま購入した土地はしばらく放置されたままだったのだが、最近になって父も母も一緒になってそこに野菜を植えたり、果物の木を植えて、失敗と成功に一喜一憂してるみたいだ。あぁだこうだ夫婦で口論しながらも賑やかにやってる光景が浮かんできた。両親とも70歳。同年代くらいの近所の人が病気になったとかあちこちが痛いとか言うのを聞くたびに両親のことを思う。元気でやっててくれることが何よりの便りだ。


Michelina |MAIL