My life as a cat
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2020年05月19日(火) フィフティ・フィフティ

「コロナの外出禁止で、家に閉じ込められて離婚が増えてるけど、もうひとつ増えると思うのは赤ちゃんじゃないかな。仲の良いカップルが閉じ込められてやることっていったら子作りだもん。来年の初旬はベイビーブームとわたしは予想してるわ」

4月にリュカにこんなことを言ってた。

4月の終わり。体温が上ってから2週間経っても生理がこない。体温が上がる時期が遅れてなかなか生理がこないことは多々あったが、体温が上ってしまえば必ず2週間後、遅れてもその3日後までには生理があった。体温、体重、体調など全て記してる過去のモレスキンを引っ張り出して眺める。そして気付く。4月になると必ず生理がものすごく遅れてるのだ。最高で35日生理がない。調べてみると、春になると気圧の変動で、生理不順になる人は少なくないらしい。そうか、気圧の変動ね。もう数日待ってみよう。

過去最高の35日を超えても来る気配なし。お腹も胸も張ってて、体温は4週間高いまま。そしてそのうち味覚がなんだかおかしくなってくる。まず4歳から愛飲し続けてる朝のカフェが気持ち悪い。食べたいものは甘酸っぱいもの、ヨーグルト、果物、梅干しなんかで、ただ甘いものは気持ちが悪くなる。油と塩っぽいジャンクフードもいい。常にちょっと乗り物酔いみたいな気持ち悪さがつきまとってて、食欲旺盛というわけではないが、空腹だと気持ち悪さが増すからお腹に何か詰める。

やっぱり何かがおかしい。症状はどちらかといえば妊娠っぽいけど、年齢が年齢だけに、閉経とか更年期障害という可能性も考える。しかし、これが妊娠じゃなかったら、おおごとだ。こんな常に乗り物酔いみたいな状態で人生続けていくのはきつい。それとも大掛かりな手術が必要になるような婦人科系の大病でも患ってるんではないか? 心配になってくる。

昨日はリュカが仕事を休んで、久々に一緒にニースへ行った。ファラフェルサンドイッチを買って広場に座って食べた。やわらかな春の日差しが気持ちよかった。食後にふと目の前にジェラート屋さんがあるのが目に入って、"見てくる!"と、走っていって、どんなジェラートがあるのか見てまた戻るとリュカがこんなことを言った。

「走っていく君のスカートの裾がふわふわ揺れて、春の蝶々が飛んでるみたいですごい綺麗だった」

彼はいつも突然うっとりした目でこんな面白いことを言う。ジェラートを買って食べた。自家製で本物の材料を使ったものだけにちょっと高いけど、価格なりの美味しさだった。なんだか幸せで、家族がひとり増えてもいいかなと思った。

新作の水着を見て、これいいなと思うのがあったけど、今年の夏はおなかがぽっこり出てるということもあり得る、とそのまま背を向けて帰ってきた。

検査をしてみると陽性。ひとまず婦人科系の大病ではなくてよかった。40代の妊娠では半分の人が流産してしまうというので、まだどうなるのかわからない。親には当分言わないことにしよう。しかし、逆に言えば40代で妊娠した人の半分は子供の産むのだよな。結婚したことでは大して人生は変わらなかった。住む環境が変わって何でもシェアできる相手がいるけど、わたしはわたしのままだ。しかし子供がいるのと居ないのでは人生は大きく変わるように感じる。今わたしは人生の大きな岐路に立たされているのだろうか。

婦人科医とのつい先日の会話。

「子供は?」

「いません」

「欲しくないの?」

「いやぁ、わたしは特に希望はないけど、夫は欲しいそうです」

産婦人科医リュカを見る。

「あっ、いやっ、居たらいいなって思うけど、絶対子供がいなきゃというわけではなくて・・・」

「まぁ、あなたの年齢で自然に妊娠するのはかなり難しいから、本当に欲しいとなったら急いで手を打たないといけないからすぐ来なさい」

その後すぐ、妊娠したとかいって戻ったらあのドクター驚くかな(笑)

ここ数週間、料理をする気もいまひとつ起きなくて、罪悪感を抱きつつもいつもは手作りするものを市販品で済ませた。原材料に自家製では入れないものが足されてるのを見なかったことにして、口に入れて後悔するを数回繰り返した。しかし、わたしのお腹にわたし次第の別の命がいるとなるとやっぱり得体のしれないものを体に入れるのは可哀想だ。そう思い直して、気を奮い立たせて、苺ジャムとトマト・ケチャップを作った。糖分20%の自家製のジャムは砂糖ではなく果物の味がする。トマト・ケチャップだって砂糖ではなくてちゃんとトマトの味がする。あぁ、やっぱりこれだ。


Michelina |MAIL