My life as a cat
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2020年04月26日(日) 薬食

韓国で旧正月などのお祝いの席で食されるヤッシックを作ってみた。いつか韓国土産にと頂いたのが美味しくて、カタカナで"ヤッシック"と覚えていたのだが、漢字では"薬食"と書くと知って納得。体に良さそうな食材をあれこれと入れた餅米料理なのだ。基本はヨンジョンさんのレシピで、だけど我が家では高級ナッツのひとつ松の実は相当なことがないかぎりひまわりの種で代用となる(でもこのほうが風味が軽くていいことも多い)。とても美味しくできた。米をミルクで煮るデザートと同じくらい好き嫌いの分かれそうな味。日本でも韓国でも中国でもお祝いの席は餅とか餅米。姿は少々違うものの、起源は同じアイディアにあるのだろうな。でもどんな?








ランチは最近ハマってしょっちゅう食べてるビーツのカレー。ボルシチはヴェーガン仕様で作ってみたけど、いまいち間の抜けた味になっちゃうし、ビーツってどうかしたらすごく美味しい野菜なのに、その食べ方にいつも迷ってたのだが、このカレーはビーツの甘みが活きてて、土臭さも持ち味になってて美味い。にんにく、ココナッツオイル、クローブ、カレーパウダー、チリフレーク、チリ、ココナッツミルク、ライムなんかが入ってる。インゲンはきなこ和え。

"Poverty, Inc"というドキュメンタリー映画を観る。わたしは人生の中で寄付金を出したことはほんの数える程度。機会はいくらでもあったけど、何かが引っかかっていた。理由のひとつは単純に自分の生活を基準に周囲を見まわして、自分と同じ物を持ってない人を哀れんで、施しみたいなニュアンスの"あげる"みたいな行為が傲慢な気がするからだ。またその支援の良し悪しをはっきりと断定できるほどの支援される側の実情を知る術がないからだ。この映画を見て、少しだけ自分の意思を形成できるような情報が得られた。今では貧困支援は影では密かに"貧困産業"とか"新しいコロニアリズム"と囁かれる。欧米諸国とアフリカの関係性はアフリカにとっては不利なことばかりだ。アフリカは自立したい。資源の豊富な国だから自立できれば貧困から抜け出せる。だが欧米諸国は国民から取り上げた税金の使い途のひとつとして例えばNGOとかのあらゆる支援団体に渡すフローができあがってる。NGOがあれば雇用もできる。そこでアフリカが自立してしまったらどうなるのか。雇用はなくなり、その税金は?支援する必要がなくなるというのは支援する側にとって不都合なのだ。ハイチは2010年大震災に見舞われた。その時、沢山の無料の物資が送られてきた。そういう緊急事態では彼らは本当に助けが必要だったのである。ところが、それから何年経っても支援は続く。無料でもらったアメリカ米は格安で市場に出回り、それで地元の農家の作物は売れなくなり、農民は貧困に追いやられる。ケニヤではコットンの栽培が盛んで、かつて市場にはケニヤ・コットンのシャツが出回っていた。ところが、今では欧米諸国が支援の名の下に中古の服を沢山送ってくる。仕入れが無料のこれらの服は市場に格安で出回る。こうしてコットンを作っている農家も貧困に追いやられるという仕組み。

「僕たちが欲しいのは、魚じゃなくて、魚の釣り方を教えてくれること。そして去っていってくれること」

アフリカは、NGOが支援が不要になっても、現地で大きな邸宅に住み、サーヴァントを雇い、高級車に乗り、支援活動を続けることを苦々しく感じてる。

じゃぁ、良い支援とはどういうものか、という話になる。イギリス人のコリガンさんは、ハイチの貧しい都心の地区で孤児院を創った。だが、そこで暮らす子供の殆どは両親がいて、会いにきたりする。ハイチの人々は孤児院を無料の託児所のように受け取ったのだろう。自分は貧しいが、あそこへ連れてけば食事と教育を与えてくれるみたいに。そこでコリガンさんは考えた。この親達は本当は子供と一緒に暮らしたいのだ、そして子供は親と暮らすのが一番だ、じゃぁそれにはどうしたらいいのか。親に仕事があり、収入があればいいのだ。この孤児院では親を雇いアクセサリーを作らせて、彼らに収入があるという仕組みを作った。彼らはその収入で家を買い、親子が家賃の心配をせずずっと居られる安住の地を得る。

この映画では、知識層が"アフリカは貧困じゃない""もう支援は要らない"みたいなことを叫んでた。それは一方では最もな話だ。だが、他のドキュメンタリー映画で見た、常におなかをすかせた本当の貧しい人々のことを思い出す。アフリカの一つの問題は54カ国中資本主義国はたったの16カ国。本当に貧しい人々への支援は、独裁国家の上流で滞って、届くことがないのかもしれない、そう思うとやるせない。

朝の一杯のコーヒー。エチオピア産。農家からわたしの手に渡るまで、6回トレードされてる。だからわたしには適正価格に思えても、農家は買い叩かれてる。わたしが、じゃぁ、余分に1ユーロ支払いましょうってオファーしたって、農家がそれを受け取れるわけじゃない。フェアトレード商品もあるけど、内訳を見なければ高い理由に納得できない。そしてわたしはやっぱり路頭に迷う。


Michelina |MAIL