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来週からもう2週間外出禁止。半月前のこの町の人々。グローブだけを着用し、お金を触り、ついでに自分の額掻く。マスクを着用するも、サングラスみたいに頭に引っ掛けてたり、顎に引っ掛けてたり、黙ってる時はちゃんと口にかけてるのに、喋る時に口から外して唾液を撒き散らす。とにかく着用する意味あるの?と突っ込みたくなったが、最近は少し板についてきたみたい。野ブタを狩り、通りで捌き、悪臭を撒き散らしてる階下の野蛮人ハンターまでマスクしてるの見た時は、世界の終焉のような気になったが。
それにしても、外出禁止と法律で定められなければ、良識ある行動をできない社会というのは少し悲しい。本来はひとりひとりが貞節をもって行動できればこんなやりかたをしなくてもよかったのではないかな。1ヶ月やそこら外出禁止と言われて、その後解禁になったらすぐにマスク外して外に飛び出して集う人続出して、また後戻りしちゃうんじゃないかと想像してしまう。
"Tolkien"を観る。"The Lord of the Rings"みたいな映画は苦手だけど、その原作者の生涯というリアリティには興味ある。戦場で傷を負った兵士のロナルドが過去を回想する。階級社会だという20世紀のイギリスで、貧しい孤児のドナルドが知性を共有することでお金持ちの息子達と築いた生涯の友情。一緒に育ったエディスとの生涯の恋。リリー・コリンズの演技よかったな。一歩間違えると貧乏くさく見えてしまう細い体躯にパッとしない顔色、だけどその一歩を着実に踏みとどまらせる優美で品位のある身のこなし。婚約を本当はロナルドに止めて欲しかったのに、突き放された時のあの頼りなく折れてしまいそうな表情、わたしの胸を痛く突き刺した。英語圏じゃない国を旅行中のイギリス人が、英語ができない人々に向かって早口でべらべら言うのをよく見かける。そういう光景はすごく傲慢に見えて、"イギリス本場の英語は美しい"という意見に賛成したことがなかったのだが、この映画を観て初めて共感した。言葉だけでなく情景全てが美しかった。幼いロナルドを残して逝ってしまった母親は"Let's just say there's treasure"と言った。その後人生に困難が立ちはだかっても、ドナルドは着実に宝物を見つけていく。そしてそのドナルドが見つけた宝物の美しさに、わたしは心を奪われた。