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2019年04月20日(土) |
ヴィルフランシュ=シュル=メールを散策 |
パック(Pâques) の3連休の初日は晴天。やっとタイツもブーツも脱ぎ捨てて、素足にショート・パンツにスニーカーで家を出る。足取りが軽いのは、春の訪れに心が躍っているせいだけではない。ニースからほど近い海辺の港町ヴィルフランシュ=シュル=メール(Villefranche-sur-Mer)を訪れた。
見所の小さな港と旧市街は1時間もあれば十分に全部見て歩けるようなサイズ。だが肝心なオフィス・デ・ツーリズムはちょっと離れたところにあって、迷いながらやっと辿り着いて地図を入手した。
"La Caravelle"というちょっと港から奥に入ったレストランでランチにする。天気も良いし、寒すぎず暑すぎずで港の周りのテラス席は賑わっていたが、リュカが風が強いのでテラスは嫌だというので、ちょっと薄暗いこのレストランへ。最初から最後まで不気味に貸し切り状態だったが、料理はリーズナブルで、味付けもよくて気に入った。
リュカの前菜の山羊のチーズのサラダ(Salade de Chèvre)。
わたしの前菜は魚介のスープ(soupe de poisson)。ブイヤ・ベースよりもずっとカジュアルで魚のアラなんかを煮出して作る質素なスープで、わたしはこれが大好き。この店のが今まで食べた中で一番美味しかった。すごく濃厚で、ごはんにかけておじやにして食べたかった。
わたしのメインはサーモンの醤油ソース。美味しかったが醤油の味がしなくてやっぱりフレンチな味付けだった。
デザートはタルト・タタンにした。美味しかったが、南仏では唸るようなタルト・タタンにはまだ出会えていない。
腹ごしらえをして、古い要塞の中を散歩する。大きいものではないが、この中にはギャラリーや庭園があって悪くない。
午後の港のカフェは満員御礼。
リュカが枕を買いたいというので、帰りにニースに寄る。枕を買ってから他の店に行き、そこで枕のカバーを見る。サイズが数センチ合わない。でも枕のサイズなんて大抵決まっていて表示サイズが違うだけなんじゃないかと踏んで、ショップ・アシスタントのおねえさんにあの展示されてるカバーにこの枕を入れてみてもいいかと聞いた。すると明らかに苛立っているその人はリュカに向かってこんなことを言う。
「Non!なんで枕買ってそこでカバーも見なかったわけ?」
余計なお世話だ!そう言いたかったが、リュカはちょっとむっとして、こんな店で買いたくない、もう行こう、とわたしの手を引いた。3連休に働いていて苛立っているのか、いつも苛立っているのか、わたしに苛立ったのか知らないが、結局そんな風に生きて損をするのは彼女自身なのだからどうでもいいが。
帰りの電車の中、切符の点検がやってきた。隣のブースの若い母親と小さな娘は切符の日付を打つマシーンが壊れていたと主張した。それは本当だ。数か月ずっと壊れたまま放置されている。いつまでたってもこのマシーンを修理しないのはSNCFだ。ところが係員はこう言い放った。
「マシーンが壊れてて刻印できないならすぐに電車の中で係員を見つけて刻印を頼むのがルールですよ」
そして罰金も含めて€25支払わされていた。フランス人のこの母親はこの国のこんな理不尽に慣れているのか、お金を払うともう何もなかったような顔をしていた。ジップロックに入れてきたサンドイッチを電車の中で食べる母子の姿を横目に誰よりも腹を立てていたのはわたしだっただろう。
ヴィルフランシュでの一日は最高に素敵だった。でも、どこも住んでみれば、素敵なことだけというわけにはいかない。