My life as a cat DiaryINDEX|past|will
リュカの仕事仲間のアレッサンドロ君がイタリア人らしくパルミジャーノを手土産に遊びにきてくれた。仕事の合間で、長居もできないというし、いつも通りの簡素なランチをひとりぶん多めに作る。ほうれんそうのサラダときのこ餃子、自家製のライ麦パン(天然酵母で作るフランス人さえ褒めてくれる自慢のパン。失敗に失敗を重ねやっと安定して風味よく焼けるようになった)。アレッサンドロ君はサラダ用に出したいつも冷蔵庫に作り置きしている人参ドレッシングが大変気に入って、餃子にもこれをかけて食べていた。デザートくらいは作ろうかと思っていたが、彼はうんと甘いものが苦手なのだと聞いたので、大して砂糖を使わないゴルゴンゾーラといちじくのスコーンを焼いてカフェと一緒に出した。これもすごく気に入ってくれた様子。あぁよかった。食事の間、彼はあらゆることを熱っぽく語る。それはレストランで食べたケーキの話だったり、自分の作った料理の話だったり。本当に他愛のない話なのに、そのケーキの質感や味を事細かに説明されると、それはわたしの耳になんとも詩的に響いてうっとりと聞き入ってしまう。フランス人やイタリア人には本当にこういう人が多い。行動はがさつでも言葉で伝えることに労力を惜しまない人々。日本の男には説明不足な人が多いから、わたしはこんなことに心がとろけてしまうんだ。父がもう少し言葉を発していたら、母はもっと満ち足りていたのではないかと思ったり。日本的な"空気で伝える"という空想の余地を残したものも美しいけれど、それでも人は空想の先の真実を知ることで安心を得たりするものだ。午後の散歩をしながらそんなことをあれこれと考えた。
Michelina
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