My life as a cat
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2018年07月04日(水) 差別と偏見と平等について

世の中は差別と偏見に満ちている。別にネガティブな意味で言うわけではなくて、ただそれが事実だと思う。自分が社会で認められない理由を人種差別に結び付けて逃げてるようなダメダメ有色人種も、強い正義感を振りかざして人種差別や性差別は悪いことだと演説するコーカソイドもどちらもうんざりである。肌の色や宗教や性別に関わらず、差別する人はするし、される人はされるのだと思う。

先日図書館で勉強していたら、50代くらいの男性がやってきてパソコンの前に座った。しばらくするとYoutubeを音を出して眺めはじめた。消音操作がよくわからないのだろうとしばらく待っていたが、そうではなかった。彼の中では図書館で音をだすことはマナー違反ではないらしかった。

「すみませんけど、静かにしてもらえますか」

そう喉元まで出かかった。日本で起きたことなら言っていただろう。でもわたしはその声を呑み込んだ。フランス人がフランスの図書館で、発音の怪しい、しかも彼からすれば"小娘"みたない見た目の余所者に注意されたらどう感じるだろうか。わたしだってお金を払ってレジスターしたし、ちゃんとした居住資格を有している。でもだからって物事は対等だと考えないほうがいいだろうと思った。ここに何十年も住んでいるイギリス人の知人は、地元の人にちゃんと犬の糞を拾うようにと注意したところ、

「なんだよ、外国人は国に帰れ!」

と怒鳴られたと話していた。この話を聞いて、考えた。この場合彼女が完全に正しいと思う。でも言われる側は正しいか否かの前に感情というものがあって、それは理論だけで形成されるものではない。悔しい気もしたが、わたしはその日は我慢して、後でそっとクリスティーヌに密告した(彼女は憤慨していた)。

就職の面接で男の面接官にこんな質問をされたこともある。

「今は未婚とのことですけど、ご結婚の予定とかありますか?」

質問の意図が解らず面食らって固まっていると彼はこう付け加えた。

「いやぁ、女性は数年働いて慣れた頃結婚や出産ですぐに辞めてしまう人が多くて・・・」

正直なまでかもしれないが、わたしはすごく腹が立った。

「そんなこというなら入社条件に結婚や出産で退職しないなら女性も採用するって書いといたら?」

そう言いたくなった。

日本人はフランス人のことをどう思っているのか、と聞かれることがある。わからない。でもひとつわたしが思うのはフランス人も日本人と同じ"ただの人間"であるということ。抓って痛いと思うところは同じなのだ。

日本の男性は家事をやらないらしいわね、育児も手伝わないらしいわね、と言われたこともある。

「そうね、わたしより上の世代は多いかも。でも、日本の女性も仕事をやめて家のことだけやっていたい人が多いんで、それでけっこううまくまわっているんです」

と答えて、このフェミニズムの国の人々を困惑させたりすることもある。

人はみんな違うから差別がある。みんな違うのに、本当に全てが平等な社会が実現したとしたら、それはそれで不都合が生じるはずだ。みんなスタートラインが違うというのに平等であることに執着するのは意味がない(現代の先進国においては)。その時々賢い判断を下せるか否かで自分の社会での立ち位置が決まってくるのだと思う。


Michelina |MAIL