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2018年05月17日(木) |
”夢のような”モロッコの旅 |
朝のマルシェで空豆、さやいんげん、グリーンピースと緑色の豆ばかり買い集めて、ランチにリゾットを作った。新玉ねぎをオリーブ・オイルで炒めたら米を入れ、白ワインをどぼどぼ。さっと蒸発させる。塩をする。ただのお湯を少しずつ注ぎながら煮て、仕上がる3分前に豆を全部投入。バターとパルミジャーノで仕上げる。子供の頃、初夏に食卓にあがる塩茹でしただけの空豆の匂いは暑くなって匂い始めた足みたいで苦手だった。この発酵したような臭さとパルミジャーノを合わせるとなんとも魅力的な芳香となると知ったのは、大人になってイタリアの空豆料理に出会ってから。今では空豆を食べながらこれからやってくる夏に思いを馳せるのは年中行事だ。
ボーイ・フレンドとモロッコでヴァカンスを過ごしていた図書館のクリスティーヌが帰ってきた。もう夢みたいな素敵な時間を過ごしたわ、とうっとり語ったのはこんな話だった。
「もう到着した瞬間から観光客からなんとかお金をまきあげたいような人がうじゃうじゃ着いてくるのよ。で、わたし達はそのうちのひとりとあれこれ話して、彼のおすすめだというレストランへ行ったのよ」
え!?そんな怪しい感じの現地人に着いていったの!?で?
「で、なかなか美味しいモロッコ料理を食べたわ」
会計とか大丈夫だったの?
「ちょっと高めだったけど、まぁ許容範囲内かな。でね、食後のお茶を飲んでたらね、その男がアタッシュケースを開けてジュエリーを見せるの。あなたのお母さんへの土産にどうかって。でも、如何にも安そうな代物なのよ」
で?
「わたし言ったわ。"こんな如何にも安そうなジュエリーお母さんにあげられないわよ"って」
言ったの!?それで?
「そしたらその男ニヤりと笑って"まぁ、確かにそうだね"ってアタッシュケースを閉じたわ」
そんなあっさり認めちゃったのか。なんかヘンテコな展開。
「でも、今度は靴を出してきたのよ。すごい素材もよくて素敵な靴なんで欲しくなったわ。でも価格を聞くと100ユーロだという。まさか、確かに素材も良いし素敵だけどそれはふっかけすぎだと言ったら結局70ユーロでいいとひきさがったんで購入したのよ」
・・・・。
「それからその男が色んなところに案内してくれたわ。結局わたし達もすごく楽しい時間を過ごすことができたから20ユーロ渡してお礼を言って別れたの」
日頃から創意に満ちたクリスティーヌのことは面白い人と一目置いているのだが、こんなまやかしみたいな人々も"夢みたい"なヴァカンスの思い出を形成する材料にしてしまえるなんて改めて尊敬する以外にない。わたしはこんな隙あらばお金をまきあげようとするような人とは絶対うまくディールできないからすぐに逃げるだろう。それを余裕で交わし、結局楽しい時間を過ごしたなんて結論に持っていけちゃう彼女はわたしよりずっと人生で得をしているだろう。物事は見る角度次第でどんなものにも変わっていくもの。わたしも得なほうをとりたいけど、でもやっぱりこんな人々とはディールできないな。