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図書館のクリスティーヌが主催する"緑の交換"イヴェントへ出かけた。食べ物と緑を持ち寄ってみんなでシェアしましょうというもの。
日本へ行くのが夢だというリュカの友人の13歳の娘さんとスモーク・サーモンとアヴォカドの手毬寿司をお重いっぱい握る。折り紙に包んだ青紫蘇の種(こちらではShiso VertとかBasilic Japonaisなどという名前で稀に売られている)には手書きで青紫蘇ジェノベーゼ・ペストのレシピを添える。身を食べて種を土に埋めたらすごい勢いで芽を出した赤パプリカの苗は折り紙で折った鉢植えに入れる。準備完了。
到着するとテーブルの上にはピサラディエ、キッシュ、素朴なパウンドケーキ、シャンパンとフランスらしき食べ物が並んでいた。そこへどんっとお寿司を出すとみんながわぁ〜っと寄ってきた。5歳くらいの男の子は彼には大きすぎる手毬寿司を口に入れ、次の瞬間目をまん丸に見開いて、
"C'est qui?"
と、わたしの顔を凝視し、場を沸かせた。彼は相当気に入ったようで、その後しばらくお寿司の前から動かなかった。お寿司も持参した緑もものの10分くらいで片付いてしまった。シャンパンを飲みながらケーキを齧り、バンドの演奏を見物し、おしゃべりし、帰りに誰かの持ち込んだマジョラムとセージの鉢植えをもらってきた。
こういうイベントは面白いと思うが、主催するクリスティーヌには多々悩みがあるらしい。
「自分は何も持参せずただ食べて緑を持ち帰ってしまうような人もいる。欲張って根こそぎ持ち帰ってしまう人もいるし。あまりにも酷ければ注意するけど、ポリスのようにはなりたくないし。持ち込んだ数だけ持ち帰れるようにチケットを配ろうかとも考えたけど、そんなことをしはじめると"環境保護と人々の交流"という当初の目的からずれていってしまうように感じるし、、、」
どこでも同じね。東京でもこういうイベントに何度か参加したが、必ずこういう人が出て主催者を悩ませていた。持ち込むものの選択も首を傾げてしまうような人がけっこういた。会場中に匂いを放つ大根の酢漬け、炊いただけの玄米、切り落としカステラのお徳用パック、、、、。首を傾げたのはわたしだけではないという証拠にそれらは誰も手を付けず、会場にいつまでも取り残される。そういうものを持ち込む人がおかしな人かといえばそういうわけではなくて喋ってみれば本当に普通の良い人なのだ。食べ物に興味がなくてただ自分がいつも食べてるものを持ってきたという雰囲気であった。人の常識というものに任せてうまくいけばいいが、常識は人の数だけ存在するものだけに、やっぱりポリスが必要になってしまうんだろう。
(写真:今日のにゃんこ。ça sent bon!)