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いつものように英語クラス(Cours d'anglais)へ行くと教室に誰もいない。白板を見るとメッセージが。
「イースターです。めんどりと卵のチョコレートを食べながら英語で会話を楽しみましょう!」
騒がしい奥のサロンを覗くとアペロのセッティングが整っているではないか。遅れてやってきた先生はわけがわからぬまま着席させられ、ワインを注がれてそのまま授業はなしでただのお喋りの会となった。このところ、英語の小説を読んで、それをフランス語に即興で訳すというわたしにとっては拷問のような授業が続いていた。こうやって上達していくのだろうから有難く受け取っているけど、それにしても落ち込むくらいダメダメなんだもの。たまには息抜きもいいでしょう。
4人の生徒さんが相談して持ち寄ってくれた自家製フード。小さく焼いたそば粉のクレープにはブラック・オリーブのタプナードが挟まっている。今が旬のオレンジ色のメロンとプロシュートとフロマージュのおつまみ、バナナとチョコレートのケーキ。そしてドリンクはシードルとシャンパン。フランス人はお菓子やちょっとしたスナックと合わせるのは必ずシードルやシャンパンなどの発泡酒と決まっているようだ。そして必ずノンアルコールのフルーツ・ジュースも用意される。甘い飲み物があまり得意でないわたしは紅茶やコーヒーといきたいところだが、こういう場面には登場しない。図書館のクリスティーヌが、
「フランス人って騒々しいでしょ。人の話を聞くよりみんな自分が喋りたいって感じで。わたしには控え目で物静かなアジア的な空気がすごくインテリジェントに映るのよ」
と言っていた。確かにこの会は騒々しい。先生が質問すれば、みんな我先にと答えたがる。しかし、先生が質問して、答えを知っていても教室中静まりかえっているようなのより余程健康的な気がする。
イースターの休日から天気はがらりと春めいて、カフェは川沿いの日の当たるスペースにテーブルを並べ出して、冬の間途絶えていた観光客も戻ってきた。ゴミ出しなんかにちょっと外に出て道を尋ねられたリすると、もう何十年も住んでるかのようなしたり顔でアドバイスしてしまう。半年もいれば隅々まで覚えてしまうような小さな町がぐんぐん活気づいてきた。