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2017年10月21日(土) |
モナコと青いパパイヤ |
モナコへ行った。通ったことはあったが、街を歩くのは初めて。人口の8割がお金持ちの外国人で高級車ばかりが走る国。街は監視カメラだらけでヨーロッパとは思えない治安の良さ。モナコグランプリが開催されて街全体がサーキットとなる。それくらいの知識しかない。
モナコ、モンテカルロ駅はフランスの鄙びた隣駅とは一線を画している。駅でリュカの友人にばったり会う。モナコ在住だというので勝手にお金持ちなのだろうと思い込んだのだが、後で聞いたところによれば先祖からの遺産の家を持っているだけで、特別お金持ちではないという。モナコでは固定資産税もかからないらしい。
駅を地中海とは反対側に降りてちょっと歩くとすぐにフランスへ入ってしまう。たった数メートルの差で土地の値段ががらりと変わってしまうというのだから不思議な感じだ。
目に付いたヴェトナム料理屋でランチを摂り、またモナコへ入る。
坂が多く迷路のようで街の至る所にエレベーターが設置されている。家はどれも新しめののっぺりとした見た目のアパルトマンで無骨な岩山を背景に浮きたっていて調和していない。道を走るのも高級車ばかりなら港にドックされたヨットも高級なものばかり。
グレース・ケリーのバラ園を歩いた。そんなに大きな公園ではなくて、日比谷公園をもっと小ぶりにしたようなところだった。
カルフールで買い物をした。物価はフランス側と変わらない。
大して歩いてないのに、10月とは思えない暑さと坂の多さにぐったり。地中海を臨むスタバがあるというので行ってみた。全席テラス席。しかしここはスタバ。禁煙なので煙を吸わされる心配はない。どんなに美味しいコーヒーを淹れてくれたって煙草の煙を吸わされるんじゃ台無しだもの。雨が降る日はどうなるのだろうか。マイカップは塞がっていたので陶器のカップで欲しいと注文。
「は?そんな人今まで見たことがない」
と言われたが、ベテラン社員のような人が
「そのカップに注いであげて」
と助けてくれた。確かに洗う手間はかけてしまうけど、コーヒー1杯飲むたびにカップ1つゴミを出すってバカげてる。と思う人はいないの?わたしと店員のやりとりを見ていたリュカ。
「君の意見に賛成!だけど僕はちょっと言えなかった・・・。だってスタバに来たの初めてだもん!」
フランスやイタリア本場のカフェでは言わずとも陶器のカップでコーヒーを出してくれる。しかしテラス席へ行けば煙草の煙がついてくる。スタバではそんな心配はないが、何も言わなければ紙カップにコーヒーを入れて出される。一長一短だな。
モナコを大きく変えたのはグレース・ケリーだったという。"Rear Window"とか"Dial M for murder"など彼女の出演した映画は大好きなのだが、モナコという場所は想像通りハリウッドのごとく芝居がかった雰囲気で、庶民のわたしの胸に響くようなものは発見できなかった。
夜「青いパパイヤの香り(仏題:L'odeur de la papaye verte)」を観た。ランチに青いパパイヤのサラダを食べて、久々にこの映画が観たくなったのだった。女主人が大事にしていた高価な壺、ムイの初恋、青いパパイヤの種、働き蟻とコオロギ。描かれた全ての物に温かい情が感じられる。静謐で甘酸っぱくて大好きな映画。ハッピーエンディングを見届けて幸せな気持ちで床に就いた。