My life as a cat
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2017年10月07日(土) Ventimiglia



フランスとの国境にあるイタリアの街ヴァンティミーリア(Ventimiglia・・フランスサイドではVintimilleという表記になっていた)へ行った。電車の車窓から見えていた裕福の象徴のような海辺のお屋敷の風景が、トンネルを超えてイタリア側に入ったとたんにがらりと様相を変える。歴史ある教会に古く小さな街並み。庶民の生活の香りと川辺で野宿をしている恐らく不法滞在であるアフリカ系の若者達。

駅にはガンを持った警察が立ち、駅前はアフリカ系の若者で溢れていて白人やアジア人の姿などどこにもない。どことなく怪しい雰囲気が漂う。

駅を抜けて50mくらい歩いたところに大きな市場がある。ここへ来ると今度は白人しかいない。たった50mで世界がぴったりと隔てられてしまうようなところにみんな大ぴらに口に出さない(または当たり前過ぎて何も気付かない)欧米の根強い階級意識を感じずにいられない。



マーケットには野菜、果物、魚、肉、チーズ、パン、生パスタ、酒とありとあらゆる物が売られていてギュウギュウと押し合いながら前に進む。価格は普通で、カートをひいて買い物に来る地元の人々も沢山いるので高いわけではないのだろう。セカンドハウスなどの多いフランス側ではこういう生活臭漂うマーケットの賑わいがない。イタリア側のほうがチョイスもあって安い。せっかく国境近くに住んでいるのだ。買い物はイタリアでするほうが良さそうだ。




でたー。生のポルチーニ茸。山のように積まれてないところを見るとやっぱり高級品の扱いなんだろうな。



これ金時豆みたいな甘いお豆。茹でて塩とオリーブオイルをするだけでとっても美味しいのだ。



生パスタ。



リュカの行きつけのレストランでランチ。隣の人が食べていたフリットがあまりにも美味しそうだったので同じのを頼んだ。セモリナ粉をまぶして揚げた野菜とカラマリ。シンプルで美味しかった。しかし半量で十分だな。

テラスで食事をしている間何度もアフリカ系の物売りが近寄ってきた。バッグ、サングラス、花、傘。どう考えても偽高級ブランド品であり、誰も見向きもしない。しかししつこく何度でもやってくる。1日1つか2つ運よく売れたとしてもそれでは生活できないだろう。もう少しましな商売を考えられないのか。お腹が空いていて考える力がないのか。それともちゃんと考えた結果がこれなのか。客が煙たがっていても店員は決して物売りを追い払うことはしない。慈悲なのか、単に関わりたくないのか。イタリアは彼らを受け入れたのか。受け入れたなら教育の機会を与えなければこの先も彼らは自分で食べていく道を見つけられないだろう。食事の時間を邪魔されたことに苛立ち、彼らが無駄にエネルギーを使い続けていること、命からがら自分の国から逃げてきたのに、その先でも食べていけない人々がいることに気が沈んだ。それに自分だってパスポートを握りしめて行動している一介の外国人に過ぎない存在ではないか。



カルフールでクロエちゃんのごはんを物色。ズッキーニ入りなんてのもあっていかにもイタリアっぽいではないか。



最後にカフェで一休み。南イタリア料理の本で見てから一度食べてみたかったカンノーロとスフォリアテッラをシェアして食べた。初のカンノーロはスフォリアテッラと似てるという感想。エスプレッソとよく合う。両方南イタリアのお菓子といってもここリグリア地方でも普通にあちこちで売られていた。

帰り道。停まった電車に乗り込むとポリスがやってきて開かないトイレを無理矢理こじ開けて中を確認していた。不法移民がトイレの個室に隠れて国境越えしたりするのを防ぐためだという。そして電車はイタリアの国境からフランスに入ったところで再び停まり、数人のポリスが乗り込んできて中を調べてまわった。つい先日もマルセイユのサンシャルル駅でテロがあり、電車を降りたところで"アッラーは偉大なり"と叫びながらナイフを振り回した男に刺され、女性二人が亡くなった。テロがずっと身近になり、わたしは少し大きな都市へ行くと背後を振り返り怪しい雰囲気の人間がいないか確認せずにはいられない。

ずっと夢見て憧れた地中海。バカンスでやってきた地中海はただただ美しかったのに、生活が重くのしかかってくるとそれは少し違うものに見えた。

Michelina |MAIL