My life as a cat
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2017年04月06日(木) 小豆島 − ジャンボフェリー、醤油と佃煮、ごま油

長いことわたしの"Places to visit list"にあった小豆島を訪れることにした。大好きな映画「二十四の瞳」の舞台であること(モノクロのフィルムであることがかえってこの島の魅力を最大限に活かされていた。ストーリーも好きだが、映像も美しかった)、日本で唯一真剣にオリーブ栽培に取り組んでいるところであること、また瀬戸内海の気候や景色というのは関東辺りの人間からすれば異国のような変わった景色であることが理由でかねてから思いを馳せていた。名前だっていいじゃないか。あんこに目がないわたしはその名前だけで十分惹かれていたのである。

< ジャンボフェリー >

仕事を終えてから新幹線で東京から新神戸へ。3時間程の旅。地下鉄に乗り換えて三ノ宮駅へ。神戸港のフェリー乗り場まで15分程歩いた。小豆島にかかる橋はなくフェリー以外のアクセス方法はない。"ジャンボフェリー"という名のなかなか大きなフェリーに乗り込んだ。通常は3時間程で到着するのだが、夜行便はあちこち寄港するので7時間ほどかかる。こんな大きなフェリーに乗ったことはないので船内を見てまわり、写真を撮ったり食べ物を買い込んだりした。女性専用という部屋もあった。神戸の電車も女性専用車両があったりしたし、この辺りはそういうのが普通なのだろうか。性別や年齢や国籍で境界線をひいたりひかれたりしないことを目指しているわたしには近寄り難かった。雑魚寝ができる部屋があるので、そこでみんな寝ている。わたたちも持ってきた寝袋を広げた。疲れていたせいかすぐに深い眠りについてしまい、目が覚めたら夜が明けていた。

瀬戸内海の神秘的な夜明けの風景。






船の中といえども特別食べ物が高いとか、不味いとかそんなことは全くない。うどんを食べている人もけっこういた。



< 小豆島 坂手港 >

坂手港に到着。宿のある古江まで歩く。道中は、うわぁ、大丈夫なのか、この島は?と不安になるような景色だった。潰れてしまったホテルや食堂がそのまま幽霊屋敷のように放置されていたりする。



< 醤油、佃煮 >

夫婦が自宅を改造して経営しているような小さな宿に荷をおろしたら早速辺りを散策。通りには佃煮と醤油の工場が立ち並び、その辺り一帯に甘辛い香りが漂う。かつてそれで栄えた時代もあったそうだ。酵母菌が住んでいることが大事だからなのか、建物はどれも古ぼかしいものばかりだ。一般向けに開放している醤油工場が多いので、尋ねると案内してくれたり、味見をさせてくれたりする。出汁醤油というのが今時人気があるらしいが、残念ながらわたしは出汁というものはあまり好物ではない。素材そのものの味がいいのに、どうして出汁で味を隠してしまうのかと解せない物が多い。卵かけごはんにも普通の醤油のほうが好きだ。佃煮も大好物ではないが、いくつか自然味で美味しいものがあったので購入した。



これは酒屋。宮崎駿の描く妖精が出てきそうな建物。好きだな、こういうの。



この通り一帯民家も住所のプレートは醤油の樽のものが付けられている。









ここら辺でバスに乗り、有名なエンジェル・ロードへ行こうかと思ったが、オリーブ・バスは1時間に1本程、2本あればラッキーという間隔でしかやってこない。レンタカーやレンタサイクルというのも考えたが、この島は車でまわるには小さ過ぎて、自転車でまわるには大き過ぎる。3日間くらいの行程で、ちゃんとバスの時刻表とすり合わせて計画を立てればバスで十分だと思う(ただわたしたちは天候に恵まれず計画がガタガタと崩れたので大変だった)。とりあえず適当な喫茶店に入りランチを食べた。カレーにエビフライが乗ったやつとかオムレツなどしかないところだったが、意外にもちゃんとしたコーヒーを一杯一杯丁寧に淹れていて、美味しいのがでてきたので驚いた。もっと驚いたのはどこから沸いてきたのか、ランチタイムに満席になるくらい賑わいはじめたことだった。

< ごま油のかどや >

エンジェルロードまで歩いていけるバス停で下車して床屋のおじさんに道を尋ねると通りまででてきて教えてくれた。そしてついでのように小さな家屋を指さした。

「ちなみにここごま油のかどや。有名だから見とき」

かどや?あのかどや???

「本家本元やで」

入ってみる。駄菓子屋のような小さな商店だ。ここで始まって、そのうち近くに工場ができたのだそうだ。すごい!だってごま油といったらかどや、知らない人いないでしょ。"日本のかどや"の始まりがこんな僻地の小さな商店だったなんて、感動だった。これは良い物を見た。本家本元では関東のスーパーマーケットより安くごま油を売っていた。小豆島の人々はなぜかのんびりした雰囲気で、がつがつと商売をしている人がいない。そして価格競争もないのか、どこへ行っても同じ物は価格が同じ。競争が激しくてちょっと歩けば物を売りつけられそうになるようなところから来ると拍子抜けする。宿の女将さんによれば、

「え?お金持ち?そんなお金なんてみんなないよぉ。でもまぁ食べていけとるくらいなところやないか」

とのことだった。







Michelina |MAIL