My life as a cat
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2015年01月30日(金) バカ正直の壁

どこの世界にも適当なことを言って調子よくやっているのがいる。同部署の女の子は、誰かが退職するなどと言えば″いやだ〜、さびし〜″と大げさに騒ぎ、、陰では″あぁ、ほっとした″などとぬけぬけと呟いたりしている。産休を取っていた女性が職場復帰した時、お菓子を持って真っ先に向かったのは彼女のところだった。前日まで″もう帰ってこなければいいのに″と言っていたのに、″あぁ、帰ってきてくれて安心しました〜″とキャンキャンやっている。そんな光景をいつも隣で冷ややかに見ていたるわたしは、かねがね自分はバカ正直で損をしているのではないかと思っていた。

しかし、よくよく話を聞いていると、そういう類の人には、付き合っていた人に浮気をされたとかうまいこと言っといて裏切られたとかいう話が多々あって、同じように調子よくやってる人が自然と集まるものなんだなぁ、とぼんやり思って、ふと気付いた。バカ正直なわたしにはバカ正直な人しか寄り付かないではないか、と。だから、浮気とか裏切りとかそういったものには無縁に生きてきた。誰かが騙そうと近寄ってくるとき、バカ正直の勘はものすごい勢いで警報を鳴らす。

塩野七生さん著の「男たちへ」の中の '' 嘘の効用 ''という話があった。自分の発した言葉を真っ先に聞くのは他ならぬ自分の耳で、それは精神に確実に刻まれていく。だから愛していない女に "私のこと愛してる?"と詰め寄られて、嘘でも"愛してるよ"と口走るうちに男は本当にその女を愛するようになるというもの。これはポジティブな効用だが、裏を返せば、本音と違うことばかり言っていれば、本当の自分の気持ちが自分にすら見えなくなってしまうのでしょう。思考のすっきり整理整頓された正直者でいいじゃない。決して損などしていない、と思い直した。


Michelina |MAIL