My life as a cat
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2014年07月19日(土) ざくろ

喉まで出かかった言葉を呑み込むのは難しくて、大変なストレスがかかる。しかし、後になってその衝動もすっかり収まってみると、やはりあの時言わなくてよかったのだと納得する。きっちりと説明のつかないことを感情にまかせて口にすればたちまち信用を失いかねない。

「この年になると、あの時あぁ言ってればよかったということより、あの時何も言わなくてよかったということのほうが多くなる」

とは田辺聖子さんの言葉だ。生産性のない陰口を叩く体力があれば、人に恐がられても当事者に直接話して前に進みたい。言葉にだしてくれなきゃわかんないという人もいる。それでもやっぱり理屈ではなく感覚で黙っていたほうがいい時というのがあるのだ。

無言の主張が言葉よりも余程相手のみぞおちに食い込むことがある。静かな足取りで、物音をたてない控え目な態度でありつつも、好きなことには喉を鳴らし、嫌いなことは全身全霊で拒否する猫は無言でどれだけ主張しているだろう。その心が透明で、簡素ゆえにその主張はよく響く。ぐっと呑み込んだ言葉を自分の心からも葬り去った時、人としてほんの少し成長したように思えた。


ロングウイークエンドの初日。友人と「ざくろ」という名のトルコ料理屋のランチへ。奇抜で風変りな店という風評通り、オリジナリティ溢れるお店だった。次から次へと色んなものが運ばれてくるのだが、″よかったら食べて″というスタイルで、欲しいと言えばサーブしてくれて、首を横に振ればそのままひっこめる。こうすれば、コースだからと客の具合を聞かずにサーブして、残って廃棄したりする無駄はない。ベジタリアンも当たり前のような涼しい顔で対応してくれる。量がとにかくすごいという風評どおりだったが、どれもあっさりとした調理で、おなかいっぱい食べても胃が軽い。クセになるような味の強いものではなくて、毎日でも食べ続けられるような優しい味のものばかりだった。

デザートに千疋屋でピーチパフェをいただいた。1000円しないみはしのあんみつが最高にうまいと思っているわたしには2000円するパフェは大奮発だったが、価格に見合った美味さで、今後贅沢の味を占めてしまいそうでこわい。


Michelina |MAIL