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| 2014年06月20日(金) |
あの頃君を追いかけた |
青春は恥と後悔と初恋で作られる―
というフレーズの台湾映画。監督の自伝的小説がベースになっているというだけあって青春の絵がリアルに描かれていた。あの時素直に謝っていれば、もっと頑張っていれば、あんなことしなければ。。。。と、人生で初めて直面する困難に手探りで挑んで成功したり失敗したり、青春の思い出は誰にとっても甘くてほろ苦いものなのでしょう。同じ経験はしてなくても、あの頃胸を満たしていた感情が甦ってきて、映画の中にどっぷり入り込んでしまう。
ストーリーはありきたりだが、演出がとにかく良い。コメディタッチで飽きさせず、ゲラゲラと笑わせておいて、まさかの場面でワッと人間の感情の深いところを突き刺して泣かせる。落ちこぼれだった主人公のコートンは家では真っ裸で、なぜかお父さんも真っ裸。家族の夕飯の場面で、裸の父が真顔で裸の息子に説教する。
「いつまでたっても成績がどん底なのは女の子ばかり気になるからか?」
何食わぬ顔で答えるコートン。
「女の子には興味ないよ」
その瞬間父と母は息子はゲイなのかと疑い、食事をする手が完全に停止してしまったのだが、その手には母はソーセージを、父は春巻きを箸に挟んで持っていたりする(笑)。
あとは大学に進学したコートンが恋い焦がれたチーアイ(笑窪の愛らしいとにかく美人)の女子寮に電話する場面。チーアイのルームメイトが背後で脇の毛の処理をしているのだが、あり得ないというくらい脇毛が濃い。これも笑えた。
しかし終盤の式でコートンが新郎にわっと飛びかかってキスしたシーンは泣けた。追いかけても追いかけても手のひらをすり抜けていくようなチーアイとの関係に気を揉んだ日々に終止符を打ってひとまわり成長した瞬間だったのでしょう。誰といようと幸せになって欲しいと思えたらそれは本当に相手のことを好きな証拠でしょう。この映画の監督はきっととてもきれいな心の持主なのだろうと思った。
台湾の文化や風俗が垣間見えるのもとても興味深かった。ポルノは日本ものが人気で飯島愛は男子の救世主だ。その一方で男子に一番人気の女子の髪型はポニーテールという清純路線だったりする。これは日本と同じだ。しかし、これはわたしの経験からの独断だが、中国人というのは性に関しては日本よりよほどオープンで健康志向だと思われる。変ないやらしさを感じない。学費が盗まれた時、クラスのみんなが″クラスの人を疑うのはよくないことだ″と公安に鞄を投げつけたのも胸にぐさりと響いた。台湾の純真な若者の感情は、社会的秩序なんかよりも仲間との信頼に揺さぶられるのだろう。