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とある外国人の方が企画・手配したツアーに便乗して甲府・勝沼へ行ってきた。前回来たのは真夏で、熱気が篭る盆地の厳しい暑さに息も絶え絶え、観光する気も失せていたが、今回はそよ風のやさしい良い日だった。桜は開花したばかりのようだ。
まずはワイナリーへ。日本人は美味しいワインを作らない、と単純に思っていたのだが、メルシャンのワイナリーで、「日本料理に合うワインを目指してる」と聞いて、すごく納得した。味のしっかりとしたオーストラリアワインに慣れているせいで、どうして日本はこんな味わいの浅いのばかり作るのかと思っていたのだが、繊細で素材の味を最大限に生かす日本料理と一緒にいただけば、料理の味を殺さない優れたワインなのだね。これは大きな収穫だった。
ランチにはほうとうをいただき、苺摘みをして、旅の最後は「ほったらかし温泉」という富士山と甲府盆地を望む絶景の温泉へ。露店風呂にゆったり浸かり、暮れていく町と夕陽に堂々と顔向けしている富士山を眺めながら、キャンベラの暮らしを思い出した。毎晩夕食後にはせっせと山を登り、さらに山頂にある大木に登り、町に灯りが燈るのを見ていた。人里離れた小さな町で、友達もなく、一緒に暮らしている唯一の人ともすれ違いばかりの切ない日々の中で、その景色だけがわたしの心を落ち着かせてくれた。どうしてわたしはここにいるんだろうとその時思ったが、考えてみれば今だってそれがわからない。
1時間も温泉に浸かったら(それくらいぬるかった)おなかが空いてきた。一緒に行った人々が温泉卵のフライにかぶりついているのでわたしも買ってみた。塩がきいてて今度は酒が欲しくなってきた。
帰りのバスでは背後の席の酔っぱらった日本女性とウズベキスタン女性とアメリカ男性がジェンダー論で揉めに揉めて熱い討論を繰り広げていた。ウズベキスタンみたいな男女共にタフに生きる以外の選択のない所から来ると日本では首を傾げてしまうことが多いのだろう。この討論はノンストップで1時間半繰り広げられた。素面で前に座っていた真面目なわたしとアメリカ女性は酔っ払い達がおかしな発言をする度に目くばせをし、中指と人差し指を絡めていたのであった。