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バレンタイン。郵便受けに思いがけないプレゼントを見つけた。包装が可愛いのでしばらく置いて眺めてから開封。中にはオリジナリティ溢れるチョコタルトとお気に入りのゴントランさんのフィナンシェが。昨年のバレンタインも同じチョコタルトを作ってくれた友人。このところ″友達″という存在について思い悩むことがあったから余計、昨年と何も変わらない関係を続けていられることがありがたい。
ホリエモンの「ゼロ ― なにもない自分に小さなイチを足していく」を読む。平易な言葉で綴られているが、とても胸に響いた。失敗しても、またゼロに戻るだけ。決してマイナスにはならない。
彼は決して天性の人ではないようだが、″みんなに平等に与えられたチャンス″をうまく掴み取り、小さな成功体験を重ねて、自信をつけていったようだ。だからあなたが出来ない理由はない、と諭してくれる。決して元経営者という上から目線ではなく、読者と同目線で語られているのだが、やはり彼のカリスマ性はひしひしと滲み出ている。東大に現役で入学し、やりたいことがはっきり見えたらさっさと学校に見切りをつけて退学してしまう。10年先の心配をして貯金などしなくてもいいと言う。彼には、学歴に頼らなくても、貯金がなくても、その身一つでやっていけるという自分に対する揺るぎない自信があるのだろう。そしてその自信は他ならぬ自分が積み重ねてきたものから培われた。
人生に対するそのモチベーションの高さは壮絶だ。そして成功に導くプロセスをいかに楽しむかという工夫がよく見える。
「歯を食いしばって努力したところで大した成果は得られない。努力するのではなく、その作業に″ハマること″」
「僕はこの″チャンスに飛びつく力″のことを、向上心とか目的意識とか、そんな堅苦しい言葉で語りたくない。もっとシンプルな、人としての″ノリのよさ″だと思っている。フットワークの軽さ、好奇心の強さ、そしてリスクを承知で飛び込んでいける小さな勇気。それらの総称が″ノリのよさ″だ」
本書はプロのライターがうまく書いたのではないかと囁く声があるようだが、私にはそう思えない。ずば抜けた文才も感じないし、決定的に彼の好感度をあげるような要素もないと思う。仮にそうだったとしても、今まで徹底した合理主義を貫き、誰かに解ってもらおうとしてこなかった彼が、それで誤解を招いてきたことを反省し、”変わろう”という意図で本書を出版したというところに意義があるのではないのか。彼は人間関係においては本当に不器用なのだろう。でも本書の出版によってゼロにイチを足したのだから応援したい。
いつかまた心が折れてしまいそうな時があったらもう一度読もう、と大事に書棚にしまった。