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2013年08月08日(木) |
燦々と陽のそそぐプラハ |
朝8時。夜更かしのプラハの町は、ろくに休みもせず、朝から活発に動いている。
ヴルタヴァ川に降りて、水辺の鳥達をぼんやり眺めた。最高に贅沢な朝だ。″プラハの春″という小説に出てきた一節を思い出す。
「悲しいことも嬉しいことも全てヴルタヴァに」
革命や戦争に翻弄されてきた人々の色んな思いがこの川に流されたのでしょう。プラハの町にはそんな輝かしくて、悲しくて、痛い、様々な歴史が刻まれながら生きながらえた逞しい美しさを感じる。
ハートのシェイプだ。愛し合ってるね〜。
散歩途中のカップルが餌付け用に持ってきたパンを分けてくれたので、投げてみる。この元気いっぱい食べ盛りのチビッ子は大人に紛れて、一生懸命パンを追う。でもやっぱり脚が短いからすぐに横取りされてしまう。それでも絶対諦めない。その必死な姿が本当に愛らしかった〜。ちょっと贔屓して近くに落ちるようにパンを投げてあげたら見事獲得してた。
メトロに乗り、再度カレル橋にやってきた。これは旧市街広場側の橋塔。元は通行料を取る料金所のつもりで作ったそうだ。
橋の上にはこういった聖人像が何体も並んでいる。こんな橋は本当に珍しい。
旧市街地広場の天文時計台。
この辺りの土産屋はどこも同じようなものをまちまちの値段で売っていて、現金で買うならマケるなどというところばかりで、ちょっとうんざりしていたところ、変わったアクセサリーを売るお店を見かけたので入ってみた。ゆっくりゆっくりと丁寧に話す老紳士が出てきて、あれこれと説明してくれる。この店は、まだ有名でない駆け出しのアーティストをサポートするために開かれたのだという。だから量産でない、ひとつひとつ手作りなのだ。すごく気になるピアスがあったのだが、価格がやや気になる。普段なら買ってしまうくらいの価格だが、盗難にあって、帰国したらパソコンなども買わなくてはならない、と考えるとちょっとセーブしなければという気が働く。
「ちょっと高いな。。。」
と呟くと、
「そう思う?」
と心配そうに顔を覗き込むので、慌てて、
「そういう意味じゃないの!ひとつひとつ手作りで労力もすごくかかっているのが判るし、何よりもすごく素敵。ただわたしの経済状況ではちょっと高いなという意味なの」
と弁解した。
心をこめて物作りに励む人、そしてそれを支援する人、わたしはそういう人々を支える消費者になりたいっていつも思っている。結局、購入は諦めたけど、量産のたたき売りで、物の魂が死んでいるようなお店ばかりの旧市街で、とても美しいものを見つけたという良い気分になった。
路地をあるいているとポテトケーキが売られていた。これ過去のボーイフレンドのお母さんが教えてくれたレシピがあって、今でも寒い日などによく作っているわたしの大好物のひとつ。このめちゃくちゃ不機嫌なお兄さんに、
「ゼミアコベープラツキでしょ!」
と話しかけたら、
「その通り。で、買うの!」
とうざがられた。″写真撮らして〜″と頼むと″勝手にしやがれ″っという雰囲気でハエを追い払うような手振りをされた(苦笑)。暑さでかなり嫌になってると見た。ほら笑って、笑って、スマーイル!と言ってあげたくなるような写真だ。
さて、今度はトラムに乗って、丘の上のプラハ城に登る。入口には微動だにしない人がいた。大変なお仕事だね、フィギュアか何かに交代してもらうことはできないのかな(笑)。
城内の建築は歴史と迫力のあるものが多々あるが、写真に収めると大したことなく見えるので、ここに載せるのはやめておこう。
城内におもちゃ博物館があった。
カレル橋から城を見上げるのもいいが、城から見下ろす城下町も絶景だ。
気球に乗ってる人々が。こんな天気の日はさぞかし気持ちいいだろう。
プラハ城は巨大で、トラム乗り場まで帰る頃にはもうぐったりだった。カフェに座りこみ、アイスのブラックコーヒーを作って欲しいと交渉した。普通に″アイスコーヒー″というとミルク入りでバニラアイスが乗ってきてしまうのだ。アイスのブラックコーヒーという飲み物を見たことのない人々が多いため、伝え方に気を付けないと″そんなもんはない!″と一蹴されて終わることもあるので、″アイスのブラック″などとは言わず、″グラスにアイスキューブを入れて、ホットのブラックコーヒーを注ぐ″と言うと変だ!と疑いながらもやってくれたりする。交渉成立。アイスブラックコーヒーを飲むことが出来た。
プラハの町が日暮れていく頃、よたよたと荷物を取りにホテルに戻った。ホテルの近くのケーキ屋さんにクルテクケーキがあった。食べられるのか、この色!?
これでプラハと、そしてヨーロッパとお別れ。空港へはメトロの終点まで行き、そこからバスに乗る。メトロ終点駅のバス停で夕陽を背にして立っていると、向こうからものすごくタイプな見た目の男の子が歩いてきた。わたしは人生で殆ど見ただけでタイプなどと思ったことがないので、ドキドキとしながらマジマジ見てしまった。夕陽に染まる青い瞳があまりにも綺麗だった。
バスが到着すると、その男の子がずんずんとこちらに近寄ってきた。声をかけられそうな雰囲気だった。″ヤバい!運命だ!″などと勝手に焦っていると、
ニコリと笑って、
″May I help you?"
とわたしのラゲッジを指さした。言葉に詰まりニッコリ笑い返すと、わたしのラゲッジを軽々と持ち上げ、バスに積み込んでくれた。
″Thanks a lot"
と礼を言うのがやっとで、話す勇気はなかった。もしやこれで飛行機の中で隣合せということもあるかも!?と淡い期待を抱いたのも束の間、わたしと同じターミナルで降りなかった・・・・(号泣)