DiaryINDEX|
past|
will
2013年07月13日(土) |
All you need is LOVE |
森美術館で「LOVE展」を見てきた。アートにみる愛のかたち―シャガールから草間彌生まで〜というふれこみのとおり、クラシックからモダンまで、LOVEをコンセプトにした作品が展示されている。
入るなり目にしたのは、本物の蝶々がハートの板に貼り付けられたもの。この蝶々の死をアイロニーととるか、作品になることで永久の美を手に入れたととるかは見る人次第というような説明がされていた・・・・けど、わたし、どんな説得力のある説明があっても、生きるか死ぬかの生存競争の世界で生きる動物の息の根を人間の芸術のための犠牲にするというのが耐えられない。愛らしいピンクのハートの板に逃げようともがく蝶々を貼り付けていく作者の姿を想像して、その不気味さに血の気がひいた。これについては同行した友人が強く共感してくれたのが救いだった。
気に入ったのは、愛の言葉をマイクに語りかけると、その言葉がそのままスクリーンに映し出されて、機械が歌を作って唄いだすもの。「クロエちゃん」とマイクに語りかけたら、ちゃんとスクリーンにクロエちゃんという文字になって、歌ができてきた。
「沖縄問題」の裏側にある米兵と地元の女達の写真は印象的だった。第二次世界大戦が終戦してから20年、日本にもアメリカにも属さず無法地帯となった沖縄で生まれ育った作者。5歳の女の子が米兵にレイプされ、殺され、死体が捨てられる。それでもどこの国の法律も適用されず、事件は闇に葬り去られ、犯人である米兵はただアメリカに帰り、普通に暮らす。しかしそんな不条理な米軍統治下にありながらも、沖縄の女達は米軍御用達のバーで働き、米兵と戯れ、恋に落ちる。その時代の社会における弱い女性の立場という理不尽さに抗わず、女だからこそ出来ることをしてそこに生きる道を見出していく。そういう女にしかできない類のたくましさに胸をえぐられた。
全体的にはグロテスクなものが多かったが、しかし石灰藻で作ったというマリア像は美しかった。