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2012年11月29日(木) |
Paris, la Ville lumière |
パリの記録は今回でおしまいにしよう。パリというものを断定することもできないほど短い滞在だったのが残念だが、その間噂に聞いたようなパリを見ることはなかった。一度もストに遭わずメトロは早朝から深夜まで働きものだ。メトロマップを手にあちこちの駅で下車して、散歩した。ガイドブックに載らないような駅で降りて歩いていると、人々が列をなしているブーランジェリーを見つけた。並んでいたパリジェンヌの″ここのクロワッサンは絶品よ″というの言葉を信じてひとつ買ってみたら、これはこれはもうバターの風味からそんじゃそこらのとは違うでしょう、というような絶品クロワッサンだった(しかもたったの€1.6 わたしはこれは安いと思う)なんていう体験もした。また″犬の糞があちこちに落ちていて道が汚い″というが、それも見なかった。写真はリュクサンブール公園だが、犬の糞を持ち帰るための黒い袋が公園に備え付けられていたし、他の場所でも道が汚いという印象は受けなかった。改善されたのかもしれない。″人々が冷たい″とか″英語を喋らない″というのはこれも全く感じなかった。パリの空は暗くてもホテルや道やキャッフェで会う人々は明るく、わたしを特に観光客とかアウトサイダーとして特別扱いするわけでもなく、至って自然だった。メトロの中で変わった人がいても誰も注目しない。こういう移民都市の都会気質というのが周囲を気にしすぎる日本人には冷たく映るのかもしれないと思った。移民問題というのもパリにいると見えない。だが、電車をとってパリから一歩離れると貧困の匂いの漂う地区に入り、そのあたりにくると車内の乗客の肌色はぐんと濃くなる。その辺りの人々はパリでスマートフォンをいじりながらメトロに乗っているアフリカ系の人々とは表情も違うように感じた。そして「花の都パリ」という呼称について。ロンドン経由でパリに着くと、どこが花の・・と感じてしまう。″English garden"などともてはやされるだけあって、ロンドンはこの寒い時期でも必死で(?)公園の芝を青く保っているわけだ。だが、パリは枯れたものは枯れたまま・・・というのか、フランス人は″芝を青く保つ精力があるなら、キャッフェでシガーでもふかしておしゃべりにかまけているほうが賢明よ″、とでもいいたげに見えた。11月のパリはろくに花も緑もない石の塊のような都市であった。
さて、最後の夜、ガイドブックに載っていたブラッスリーで食事をとろうとその店を探していた。道は極めてシンプルなのに見つからない。通りかかったお兄ちゃんに聞いてみた。彼はその店を知っていてそこまで連れて行ってくれた。まだ開店していなくて真っ暗だったのだ。開店まで1時間以上ある。諦めようかと思っていると彼が″よかったら時間潰しにこれから行くパーティへ一緒に来ないか″と誘ってくれた。すぐそこ、と指さすので、まぁいっかと着いていった。彼は英語があまり流暢ではなかったが、着くまでの間、妹が日本語を話すので彼女と日本を旅行して、奈良公園で鹿を見たのが一番よかった(笑)とか話してくれた。パーティーはパーティーというよりは酒の試飲会のような感じであらゆる酒を注がれ感想を求められた。彼らは英語を話さず、わたしはフランス語を話さないというのに、ものすごい勢いで話しかけてくる。フランス人はおしゃべり、これは本当かもしれない。