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昨日美術館を出ると雨がぱらぱらと降っていた。こんな日は温かいコーヒーを啜りながら、ナッツやチョコレートでも齧って映画館でまったり過ごすのもいいねぇ、そう思い立った。まえもってチケットを買って行こうと、駅ビルの中の一畳くらいのスペースでおじさんがひとりで営業しているチケットショップに入った。チケットは映画ごとではなく"京成ローザ"(古い古い映画館)のチケットとして販売しているらしい。
「一枚ください」
「はい、1400円」
チケットには1300円と書かれている。
「チケットに1300円と書いてあるのに、なんで1400円なんですか?」
と訊ねるとおじさんはさらりとこう言った。
「うちが100円手数料とってるから」
手数料?チケットショップで手数料を取られるなんて初めてだ。仕方なく1400円払ってチケットを受け取るとおじさんが聞く。
「何観たいの?」
「"新しい靴を買わなくちゃ"」
「それだとね・・・・(時刻表を追っている)、15:25分だね。京成ローザの1のほうだよ。ボーリング場の隣ね。駅ビルの中歩いてけばいいよ」
100円の手数料はこの時刻案内と道案内賃なのか。東南アジアで無理やりシクロに乗せられたような気分だ。
平日の15時の映画館で上映される恋愛映画。ギリギリに映画館にすべりこんで当たりを見渡すとガラすきではあるが、パラパラといる客は意外にも全員女性だった。ひとりの女性が半分、友達連れが半分、全部で20人くらいしかいない。この京成ローザという映画館、客席にほとんど段差がなくな斜め45度に首を上げてスクリーンを見上げる格好となる。ちょっと辛い。そして背後に座っている"モンスターホテル"と間違えて入ってきたんじゃないよねぇ?と聞きたくなるようなおばちゃんが、笑うところじゃないところで大きな声で笑うのだ。セン(向井理)の苦労話の中の、"朝も昼も夜ももやし食べてた。朝は醤油味、昼はカレー味、夜はソース味・・・"というところでガッハッハと笑い声がする。そしてお互いに人生の中の苦悩を打ち明けあったセンとアオイ(中山美穂)がそっと体を寄せて横たわっている。アオイが囁く。
「もっと近づいて」
センが近づく。アオイがもう一度囁く。
「もっともっと近づいて」
ギャッハッハッハ。再び背後からおばちゃんの声が聞こえた。ちょっと〜、個人的には感動もしてないけど、一応ラブシーンなのだよ、ここ、笑うところじゃないのよ!
映画は無味無臭、パリと中山美穂と向井理が嫌いじゃなければ害もないでしょうというくらいのものだ。岩井俊二と中山美穂と聞いて"Love letter"くらいのストーリーの面白い映画を期待したのだけどね・・・。