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2012年09月09日(日) |
Sliding Doors |
あの時こうしていたなら、、、誰もがそんな想像をしたことがあるでしょう。人の運命なんて日常の中のなにげない選択が創造するもので、それによって天と地ほどに変わってしまったりもするものだ。この映画は一瞬の差で電車を乗り逃してしまったグィネス・パルトローが演じるヘレンと一瞬の差で電車に乗ることのできたヘレンのその後の運命を交差させて描いたものだ。ニコラス・ケイジの"Family guy(邦題:天使のくれた時間)"では空港で恋人と別れるか否かで男の運命が全く違う方向にいってしまったが、この映画では出だしは主人公の日常生活とそれをとりまく人々には大きな違いはなく、ただ浮気者の男と少し長く一緒に過ごしてしまうか、新しい男とデートをはじめるかくらいの差しかない。現実は電車を一本乗り過ごしたか否かで変わる運命なんてせいぜいそのくらいのというのが大半だろう。それでもそんな小さな選択の積み重ねで少しずつ運命は二つの路に別れていくのだが。
しかし、この映画に出てくる二人の男性ときたら、、、わたしだったら両方付き合いたくないな。イギリスではこんな男性がうけるの???見た目が詐欺師みたいなのは二人とも同じで、ひとりはそのうえ浮気までしてるんだけど、気が弱くて、ちょっと浮気がばれそうになると情けないほどおどおどしちゃって、全く浮気なんてする器じゃない。もうひとりは電車の中で女性をナンパするのはけっこうだけど、本を読みたいって言ってるのにマシンガントークをやめない図々しさ、妙にハイテンションでつまらないジョーク連発したりして、ドンビキだ。
この映画を見てこんなことを思い出した。わたしのアートカレッジの講師の話だ。授業で彼が「後悔」という議題で喋っていた。
「例えば僕の後悔、、、それは飛行機の中で隣り合わせになった女性と話がはずんで、そのまま別れたのだけど、その後、電車の中で偶然彼女を見かけたんだ。でも相手はもう覚えていないかもしれないとかあれこれ考えてしまって、話しかけることができずに、彼女は電車を降りていってしまった。彼女にすごく魅力を感じていたのに、どうして連絡先を聞けなかったのか、何もせずに諦めざるを得なくなったのが大きな後悔なんだ」
飛行機で隣り合わせになった人とまた電車の中で会うというのもすごい確率で起こる奇跡だからわたしはこの話をしっかり記憶していた。
ところが、更にどんな奇跡が起こったというのか、数年後彼が彼女と結婚したと聞いた。結婚式の二次会に顔をだした友人によれば、鬼講師だった彼が感動のあまり号泣していたそうだ。「ご縁」とはこういうことなんでしょうね。目の前で電車を乗り過ごしたなら、チッ、などと舌打ちせずに素敵な運命に期待するのもいいかもね。