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韓国出張へでた日本男児の同僚が、BBクリームをお土産に買ってきてくれた。わたしはこのBBクリームとやらを使用したことがないので、箱とにらめっこしていたら、そこへ欧米人の同僚がやってきた。それはなんだと尋ねるので、お土産にもらったのだと話した。すると、
「なぜ彼は君にそんな高価なお土産をくれるのか」
と首を傾げる。わたしは本当は特に理由などないことを知っていた。彼は単に珍しい物を買ってみるのが好きなので、購入し、年が近くよく話すわたしにくれたのだった。しかし、わたしはわざと、さて、なんでかしらね?と思わせぶりをしてからかった。このお土産文化のない欧米人の同僚はジェラシーの顔で去っていったのだが、翌日、同じ場所にアイスクリームを持ってあらわれた。それを誇らしげに差し出し、
「オミヤゲデス!」
と言う。わたしはあまりにもかわいらしさにハグしたくなった。
はたまた滅多に顔をださない部の歓迎会へ行くと、若造の幹事はわたしがお肉を食べないことをしっかり覚えていて、お店の人にコースをアレンジしてくれるように頼んでくれていたのだ。それだけでも感動だったが、またこの白金育ちのお坊ちゃま幹事のグルメ舌で選んだ店の料理とワインの美味しいことよ。わたしはほろ酔いの良い気分で家路に着き、電話してきた男友達にその一部始終を話してぐっすり眠りについたのだった。
その翌日、その男友達が電話をしてきて、美味しいものを食べに行こうと誘うのだ。そして
「もちろん僕は君がお肉を食べないことを覚えているから、ちゃんと事前にチェックした。」
と得意げに付け加えた。
男の子の闘争心のメカニズムは単純明快だ。ボーイフレンドが会社の女の子にはお土産を買ってきているようだが、自分には買ってこないと嘆く女友達に話すと、今度その手を使ってみようと意気込んでいた。
さて、日曜の夜、そんな単純明快な手にはのりそうにもない、非常にデキの良い男友達を夕飯に招待した。外食にも飽きたというので、素朴な家庭料理が食べたかったらいつでも来てくださいと誘ったのだ。日頃、都会のど真ん中で、肉食系の男達と文字通り肉食ばかりしている彼は、ほっとする味だととても喜んでくれた。食後に彼がデザートにと買ってきてくれたチョコレートを食べながら、彼の将来設計の話に聞きいり、感化された。この人はお金を作ることが何より大事とされる派手な業界に身を置き、自分と価値観の離れた人々と働くことに少々うんざりしながらも、将来はその経験を生かして発展途上国の経済支援策を練る仕事をしたいのだと、新たな分野の勉強に励んでいるらしい。わたしはここ数年、一途に「ママになりたい」などと思ってきたが、同年代の人の諸々の人生設計を伺うと違う人生もあるかと考える。チョコレートも美味しかったけれど、何よりも彼のくれた刺激が良いお土産だった。
(写真;まだまだおてんば娘なクロエちゃん)