My life as a cat
My life as a cat
DiaryINDEXpastwill


2011年06月15日(水) I can't take it anymore! I quit!

仕事にあまり感情的になってはいけない。やってもやっても掃けないことに苛立ったり、他人に押し付けられる理不尽な雑用もいちいち深く何かを感じたりせず、淡々とこなすくらいの神経を持たなければこの会社ではもたない。わかっているけれど、たまにぷっつりときれてしまいそうになる。

ランチタイムにインディアン・ガイとアメリカン・ガイにこんなことを打ち明けた。
「アメリカのドラマなんかでよく"I can't take it anymore! I quit!"ってきれて会社を去っていっちゃたりするシーンがあるでしょ。わたし最近自分もある日突然そうやってこの会社を辞めちゃったりすることがあるような気がするの。この間ふとそんな想像をして、思わずそう口走っちゃったら、もたもた荷物詰めるのも恰好悪いから、すぐ去れるようにって、気付いたら持ち物を整理してたの。」

二人は、"referenceに響くから穏便に退社したほうがいいよ”などとアドバイスをくれたが、日本にはそんな制度はない。

その数日後の朝、突然デスクをばちんと叩く音がして、怒鳴り声が聞こえた。

"I can't take it anymore! I quit!" 

辺りが一瞬にして凍りついたように静まりかえった。

その声はわたしのものではなかった。しかも英語じゃなくて"もうやってらんねぇよ!辞めてやる!”という日本語だった。斜め前に座っている男性だった。大学を卒業して以来この会社入って、この道25年。養わなければならない大家族持ちだ。毎日彼を攻めたてるボスにとうとうきれたのだ。言いたいことをひととおり言うと彼はそのまま去っていった。斜め前で日頃穏やかな彼がボスに攻め立てられては呼吸が荒くなるのを、びくびくしながら聞いていたのだが、とうとうこんなことになってしまった。

マネージャーが追いかけて説得したが、もう本当に嫌気がさしてしまったようだ。たった数年しか働いていない独身のわたしと彼がやるのでは全く重みが違う。彼の人生の労働時間を全て捧げた会社をそんなふうに辞める気持ちはどんなだろう。わたしが冗談半分で話していた"I quit"などという言葉では計り知れない複雑な感情が渦巻いているに違いなかった。


Michelina |MAIL