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朝から快晴。ひんやりした空気と陽の暖かさが心地良い絶好の散歩日和。JRの御徒町駅で下車した。目的はまるよしさんの江戸風鈴のお店。安売り・叩き売り、そしてそれに群がる人々で賑わう駅前を抜けて、5分くらい歩くと佐竹商店街アーケードの入り口がある。閑散としたアーケードに入るとすぐに工房が見つかった。民家の玄関のような入り口から中へ入る。誰もいない。ウェブサイトの家族紹介に載っていたカメ男君だけが嬉しそうに水面から半分顔をつきだしていた。いかにもひとつひとつ手作りという全部違う形で全部違う音色、絵付けも簡素なのんびりした風合いが好きで、もうすぐイギリスに帰ってしまう同僚にプレゼントしようとやってきたのだ。カメ男君にお金を置いて持ち帰るわけにもいかず、何度も大声をあげて呼んでみたが、二階から楽しそうな家族団らんの音が聞こえてくるだけで誰もこない。仕方なく、一度お店をでて、アーケードを一周することにした。どの店も売る気があるのか、ないのか、流行を追うこともなく、自分の時間の中に閉じこもって、じっとまた人々が戻ってくるのを待っているかのようだ。不親切というわけではないが、客に媚びるわけでもない、売れれば嬉しいが、かといって頑張って無理にでも売ろうとも思わないというようなのらりくらりとした雰囲気だ。中屋洋菓子店というお店でコーヒーロールを買い食いした。きめ細かなしっとりした生地ともったりとしたバタークリームが美味しい。またお店に戻ってカステラも買った。そして工房に戻ってみたが、やはり誰もいない。仕方なく電話してみた。背後の電話が鳴っていた。するとやっと奥さんが降りてきて、背後で電話を取った。あぁ、やっとなんとか人がでてきた。あれこれとアドバイスももらい、カニの絵のついた風鈴を買った。
また駅まで戻るとやはり安売り・叩き売りが賑わっていた。空気がガラリと変わっていた。まるでタイムトリップから戻ったような不思議な感覚だった。