My life as a cat
My life as a cat
DiaryINDEXpastwill


2007年10月30日(火) あなたには才能がある

シティで仕事帰りのアレックスを見かけた。きちんとした社会人の格好をした彼を見るのははじめてだ。

アレックスもマーヴも裕福な家庭で育って、行儀良く教育された人々が当たり前のように兼ね備えている自立心から貧乏な学生生活を送ったことには変わりない。アレックスは親に学費を援助してもらうことに気が咎めるといって贅沢はせず、バイトをしては少しずつ返しているようだった。20代そこそこの男の子がたったひとり家族や知人もなく移民してそこで生計を立てていくというのは簡単ではない。しかし、卒業して就職して、転職して着々とキャリアを積み上げていって立派な社会人になったのは、努力と根性と頭の良さの賜物だろう。社会にでて、大人の人付き合いも学んで、生活にゆとりもできたせいか、あらゆることをスマートに交わせるようになったと思う。マーヴは4人もの頼れるお兄ちゃんと育ってきたせいか、開拓と決断が鈍い。しかし与えられたことは張り切ってこなし、その中で一等賞を取るタイプである。就職活動をはじめた時もわたしが手直しした履歴書を持って懸命に走り回っていた。

二人ともかわいい弟のようだ(いや、マーヴは息子か)。アレックスを見ては、マーヴは彼のようにちゃんと成長するだろうかと思う。今日マーヴがふと
「君の周りにいた男達を覚えているよ。みんな家も車も職も色々持っていたのにどうして何にも持っていない僕と付き合ってくれたの?」
と言った。わたしはもう物質は単なるオマケだと知っている。胸を焦がして泣いたり笑ったりさせられるものは人の心でしかない。その身ひとつで幸せをくれるのだから彼には才能がある、そう思ったからだ。


Michelina |MAIL