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見事な新緑。すくすくと芽吹く新しい命に胸が躍る。
マーヴと出会えてよかったとつくづく思う。地位も名誉も職も金もないのに、結婚したらコーヒーマシーン買ってあげるね、猫も飼おうね、庭だけは大きいのがいいよね、とか夢に明け暮れるたび、わたしの脳裏に浮かぶのは野良猫に囲まれて火を熾してコーヒーを沸かし、地上全てが自分の庭であるホームレスのような自分の姿だ(そう本人に言うと、「そんなことはない、屋根付きだけは約束する」そうだ)。しかしその顔は決して不幸そうではない。自分が学生の時ですら"貧乏学生"と付き合ったことなど一度もなかった。ほんの少しのお小遣いは全て映画に注ぎ込んで、唯一お金に換えられそうな財産は質の良いベッドとソースパンだけ。ソファはないから椅子をブランケットで包んでくれたりした。
母は、愛があればお金なんてというのは最初のうちだけよ、お金がなければもめるのだから、とよく言った。しかしお金に困ったことのない両親はよくお金の使い道でもめた。東京で暮らす友人にはお金があるが愛がない。孤独に子育てに明け暮れて、お金だけはしっかり運んでくる旦那の背中を見つめながら離婚を考えている。わたしとマーヴは仲良しだ。何もない中でアイディアを出しあって、ひたすら愛だの恋だのに明け暮れる楽しみを知って、30歳を過ぎてもう一度新しい人生が開花しはじめたようだ。