My life as a cat
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2007年10月16日(火) 空も飛べたのに

病院へ。もう名前も顔も覚えられているようでみんな親切だ。いちゃいちゃし過ぎだと数回注意されたものの、おとなしくしていたら面会時間を長くしてくれた。マーヴには面会者もお金をくれる人もいるから、売店でチョコレートやスナックを買うことができるけれど、そうでない人もいる。マーヴが売店で何か買うのを涎をたらして見ていて、お金を払い終わると寄ってきて物欲しそうに、何を買ったのかと聞いてくるおばちゃんがいて、チョコレート・バーを一本分けてあげたら奇声をあげて飛び上がって喜んでいたそうだ。わたしはそれを聞いて、今朝家のドアを開けるとそこに何の外傷もなくただ力尽きるように丸くなったまま硬くなって死んでいた小鳥を見つけたのを思い出した。どうして民家のガレージのコンクリートの上なんかでひとりぼっちで死んだのか。鳥は人里離れた海や森で集団で力尽きるものだと思っていた。木陰の土の上にそっと移したら、周囲に散らばっている木屑のように無力で、本当は空も飛べたのにと悲しくなってうろたえた。

外にでるといつもの患者のおじさんが遠くからわたしの名前を呼んでいる。用があるわけでも話したいわけでもない、ただ名前を知ったからリピートしているだけだ。手を振ると嬉しそうに"I know you are Japanese"とまたたったひとつだけ知っていることをリピートしていた。



Michelina |MAIL