My life as a cat
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2007年09月01日(土) それでもボクはやってない

周防正行監督の「それでもボクはやってない」という映画を観た。就職の面接へ向かうフツウの若い男の子が電車内で痴漢の疑いをかけられ、逮捕されてからの拘置所の様子や裁判の行方を描いた話。認めてしまえば5万円の罰金、裁判で無罪を訴えるのならば長い拘置所生活か高額な保釈金を払って塀の外で判決を待つかという疑われた時点で刑務所に入ったも同然のような理不尽な仕組み。無罪判決を出すことは国家権力に楯突くことになるからと左遷されてしまう平等な裁判官。どこにでもいそうな普通の人々の普通の感情や普通の正義感がいとも簡単に蹴飛ばされていく。「疑わしきは有罪」などと言って簡単に人の人生をくるわせてしまえる人々と被疑者、どちらが悪なのか。

知人に財布からクレジット・カードを引き抜かれて使いこまれたことがあった。防犯カメラに姿がうつっているのにも関わらず、警察は捕まえる気など全くなかった。それを批判するとイヤイヤ本人を呼び出し「事情を聞きましたが、やってないそうです。結婚間近に控えているそうで幸せそうでしたよ。」などと報告されてしまうのだから、それが電話じゃなければ一発殴ってしまったかもしれない。オーストラリアで強盗に入られた時だって彼らが来たのは強盗が出て行ってから1時間半後だった。警察なんて頼りにならないとわたしは思っているが、きっと警察も検察も裁判官もピンキリだ。しかし、人の名誉を一生に渡って左右してしまう人々がピンキリなんて気まぐれなものでいいのか。

ひたすら「やってない」と訴える主人公にマーヴを重ね合わせてしまう。昨日までマジメな学生だった人がある日突然容疑者になってしまう。メルボルン事件の本多千香さんはコアラを見ることを楽しみにしてきたただの旅行者だったし、鈴木英司さんは東南アジアで女を買うただの呑気な日本人男だった。ひとごとではない。明日は我が身かもしれないと思うと身の毛がよだつ。でも今わたしにできることはマーヴをしっかり信じてあげることだけだ。


Michelina |MAIL