My life as a cat
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2007年08月30日(木) Mr.Slow

アパレル関係の会社で写真の編集の仕事を始めて一ヶ月経った。未経験なところも教わることができるのでなかなか面白い。しかし、お姉ちゃんなんだから面倒みてあげないさい、とばかり言われながら5歳下の妹と育ってきた姉の宿命なのか、気付くと金魚の糞のようにくっついてくる頼りなく優柔不断の年下の同僚がいる。聞いたことはないが、彼には絶対年上の兄弟がいるに違いない。写真選びひとつにしても深く考えてしまい相談される。こんなんだから時間内に仕事が終わらない。一度、「あなたは深く考え過ぎて破滅するタイプだと思うわ」と言ったら、次の日大失敗をして、「僕言われたとおりでしたね。あぁ、どうしよう」と、これまたいつまでもくよくよしている。定時間際になるとわたしが「早く、早く!バスに乗り遅れるよ」と彼を急かし、「先に行っててください」と言って後から息を切らして発車寸前のバスに飛び乗ってくるのも毎日同じ。わたしの半分くらいしか仕事を終わらせることができないのでクビにならないのかとみんな心配し、本人も焦っているが一向に改善されない。読書ものろい。その本いつから読んでるの?と聞くと一日1ページしか読めないという。要するに面白くない本なのだろうと思うが、面白くない本を読むのをストップするという見切りものろい。2週間くらい経ってようやく諦めて別の本を持ってきた。
「僕、子供の頃から体育の時間とか着替えるの一番遅かったんです」
「わたしは女友達と買い物に行くと絶対店の前で待たされるよ」
という会話があって、やっぱりこういう習性は治らないのかもしれないと思う。

そんな彼に国際電話のかけ方をたずねられたかと思ったら、次の日、
「僕、中国へ行って友達のビジネスを手伝おうかと思ってるんです」
とあっけらかんと打ち明けられた。中国人の友達があちらでビジネスを興して成功し、誘われたらしい。日本人の中でものろいのによりによって中国なんて!
「あのね、中国人はわたしよりせっかちよ」
と老婆心ながら教えてあげたのに、もう春が来たような顔つきで中国語のCDを聞きながらわたしの耳にもイヤホンを押し付けてくる。


Michelina |MAIL