My life as a cat
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2005年06月10日(金) 不毛なおしゃべり

パースでホームステイした時、イギリス人のホストマザーの神経質ぶりに疲れ果て彼女とは数度口論をして、挙句の果てには家に帰るのが憂鬱になり、いい年した不良少女のように彼女が寝る時間までシティをうろうろしては遅くに帰宅し、余計彼女を怒らせていたのだけれど、だからといってわたしが彼女を頑なに嫌っていたわけではなくて、たまに夜遅くまでキッチンで長話をすることもあった。そして彼女の思想や信念に強く共感する箇所もいくつか見つけることが出来た。その中でも印象的だったのは「不毛なおしゃべり」について。元大学の教授で今はドイツ人のホストファザーと静かに主婦として暮らしている彼女は近所の主婦との井戸端会議にはフルに参加しないことを美徳としているということ。その井戸端会議で何が話されているかというような説明はなかったけれど、わたしは自分の社会人経験の中で正に彼女と同じようなことを考えていたのでピンときてしまった。

今、わたしは仕事上で女性社員と接点が全く無いので仲良くする機会も無く、ランチは大抵本を読みながら一人で摂っているのだけれど、たまに気が向くと彼女達が固まってランチへ行くのに合流させてもらったりしている。そんな時にいつも思う。誰が悪いわけではないけれど、バックグラウンドも趣味も恐らくみんな違うという大人が数人集まっての会話は当たり障りのない話題とか、みんなが共有できる職場の話、しかも仕事の話じゃお堅いから職場の人間の話というふうになる。それはすごく不毛なおしゃべりでちょっと時間を無駄にしたような気分になる。

それでも不毛なおしゃべりの時間も必要だと思っている。毎日本とか映画とかばかりと向き合って得るものは沢山あるけれど、身近な人々と向き合うこともまた違う収穫があるはずだと思う。でも毎日彼女達とこんな会話をしながらランチを摂ることは好まないから、だからホストマザーのいう「フルに参加しないこと」を美徳とするのだ。


Michelina |MAIL