あたしとの距離を、どう思っているの、なんて。 聞かない。 独りの家に帰るのが嫌で、仕事を終えて、駅前をぶらつく。 あなたが、あたしのことを遠くに感じていても、 あなたの残り香ばかりの、あの家で、 あたしは、息苦しくて仕方ないから。 それでも、どこかへ行けるはずもなく、 二匹のイタチがあたしの帰りを待っているから、 とぼとぼと、寒空を歩く。 そんな毎日。 お昼はちゃんと食べてます。 夜はときどき忘れます。 なるべく早く寝ています。 きちんと仕事に行ってます。 誰にも報告しないけど、真っ当に生きることで、 あたしは、あたしを許している。 逃げること、狡いこと、弱いこと。 そんなあたしを許している。 離婚届けを出しました、とメールが届いた。 あたしは返信をしない。 それがあなたにとっての一歩でも、 あたしの現状は何も変わらない。 今夜もお風呂に入って早く寝よう。 一日一日が平穏に過ぎますように。 明日は少しでも暖かい日でありますように。 それだけを、願うの。
|