誰かを。 あのひとを。 あなたを。 あたしを。 きらいになれたら、どんなに楽だろう。 あたしは弱いから。 嫌いになるのが怖い。 嫌われるのが怖いから、嫌いにはなれない。 あたしのなかで、 「好きなひと」と「どうでもいいひと」しかなくて、 好きを嫌いに変えることは、とても、とても難しい。 別れ話でもめてます。何度目か、もう数えていないけれど。 冬の寒い頃。 梅雨の頭が痛い頃。 あたしはいつも、逃げ出す算段を考える。 うまく逃げる術を画策する。 そして、失敗するのです。 今回は。 まだ結果が出ていなくて、いつもよりも、がんばってて。 あなたがいなくても平気なのに。 顔を見ると、どうしようもなくなる。 あなたがいなくても元気なのに。 寒さに凍えると、いつも思い出してしまう。 あなたは、あたしにとって、なんなのですか。 もう、これを、恋と呼んではいけないと思うのに。 緩やかに、消えるように、 死ねたら、どんなに楽か。 嫌いになれず。 憎めもせず。 ただ、流されていくだけのあたしなら。 なにもかも、投げ出したいのに、 日常はそれを許してくれない。 明日も目が覚めたら、仕事に行かなきゃ。 忙しく、慌ただしく、笑って、笑って生きて行かなきゃ。 だってあたしは、独りなんだから。
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