結局、あたし、ここにいる。 逃げる場所が見つからなくて、ここに、いる。 華が許してくれるから。 それを、認めてくれるから。 でも、恋人という枠を失ったら、あたしとあなたは何なのでしょう。 友達というには近すぎる。 けれど。 恋人というものには、もう、戻れず。 でも、ね。華。 あたしは、これが一番落ち着く。 焦燥もない、嫉妬もしない。 そりゃもちろん、あなたが別のひとを好きになったら、悲しいけれど。 それはとても悲しいけれど。 あたしは、ね。 待ち続ける自分が嫌だった。 イライラして、当り散らす自分が、惨めで、嫌いだった。 どうにもならない現実を直視しなければならない。 どうにも出来ない自分が歯痒くて、自らの首を絞め続けていた。 無力なのだと、思い知るのが、怖かった。 だから今のあたし、とても落ち着いている。 夏の日差しに焼かれて、息苦しい思いもしているけれど。 あたしの心はたぶん、とても静かだ。 逃げなくてもいい。 捨てなくてもいい。 泣かなくてもいい。 華、きっと、あなたのことを利用している、あたし。 自分の安定のために、あなたを利用して、いる。 何も返せないのに、ね。 ごめんね、と繰り返してみても。 あなたには届かなくて。 ごめんね、と呟けば。 あなたは困った顔をする。 ああ、ただ思うのは。 胸が痛くなるのは。 ひとつだけ。 それほどのものが、あるのでしょうか。 どこに? おしえてよ。
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