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2007年06月02日(土) 【中日新聞より】統合失調症 2

昨日に引き続き、中日新聞の特集記事をご紹介します。
今日は『統合失調症』の<3>と<4>です。

以下にご紹介いたします。

情報元 : CHUNICHI Web

以下、HPアドレスとHP内の記事を転記いたします。

 注意 : 私 夏海は、中日新聞社メディア局データベース部著作権課に許可を頂いて転記しております。
 以下の記事の内容は、中日新聞が著作権を保持していますので、
 転記や引用される方は、中日新聞社メディア局データベース部著作権課へ連絡して下さい。


 お問い合わせは、からどうぞ ^^
 http://www.chunichi.co.jp/policy/copyrights.html




トップ > 暮らし・健康 > 健康一覧 > 記事  【 統合失調症<3> 退院促進支援 社会復帰への橋渡し】


>>  統合失調症<3> 退院促進支援  社会復帰への橋渡し
 
>> 2007年6月15日

>>  大阪府に住む女性(52)は、三十代で統合失調症を発症。十五年間、府内の病院に入院した。幻聴
>> などの症状は、一年ほどで折り合いをつけられるようになり、医師からは「家族の同意があれば退院
>> していい」と言われたが、家族が反対したため実現しなかった。決まった時間に寝て、起きる毎日。好
>> きなところへも行けない生活は窮屈で、つらかったという。

>>  二〇〇三年から「退院促進支援事業」を利用して、自立支援員らの協力を得て社会復帰の練習を始
>> め、二年前から賃貸マンションで一人暮らし。障害年金が頼りの生活は楽ではないが「自由に買い物
>> に行けるのがうれしい」と声を弾ませる。

>>    ×  ×

>>  病状は回復しても、医療以外の理由から病院にとどまる「社会的入院」の患者は、精神疾患全体で
>> 今も全国に約七万人いる。その多くは統合失調症とみられている。

>>  国立精神・神経センター精神保健研究所社会復帰相談部の伊藤順一郎部長は「日本では、病院が
>> 医療も生活も面倒見ますという姿勢をつくってしまった」と指摘する。

>>  一九五〇年施行の精神衛生法で、患者を自宅に軟禁する「私宅監置」が禁止された。代わりに、私
>> 立病院を中心に入院病床が次々と作られ、多くの患者が入院させられた。欧米で長期入院は治療に
>> 役に立たないことが指摘されベッドの削減が始まった六〇年、七〇年代になっても日本の精神科病床
>> 数は増え続け、人口あたり世界一というベッド数に。病院のソーシャルワーカーとして働いた経験もあ
>> るジョブコーチ大磯の滝沢武久代表は「長く入院するほど、患者の気力はなくなり、社会性も失われ、
>> 復帰がより困難になる」と証言する。

>>  退院後の患者を支えられるかという家族の不安から反対されたり、社会の偏見を気にして「私には
>> 無理」としり込みする人も少なくはない。家庭的な事情から「帰る家がない」と嘆く患者も。

>>    ×  ×

>>  二〇〇六年度から全国で行われるようになった「退院促進支援事業」は、さまざまな原因で社会復
>> 帰に踏み切れない患者を後押しする仕組み。自立支援員が患者とともに退院後の生活について考え、
>> 他の職種の人とも協力して必要な支援をする。病院からの外出の同伴、住居の契約手続きの補助な
>> どのほか、退院前に社会復帰施設を体験する橋渡しもする。

>>  二十年以上の入院歴のある東京都調布市の高山輝雄さん(69)は、国の制度に先駆けて地元の社
>> 会福祉法人が始めた支援制度を使って退院、現在はグループホームで暮らしている。「皆で行く一年
>> に一度の旅行が楽しみで、仕事をしていても、その旅行のためにお金を稼ぐぞと思うと張り合いがあ
>> る」と笑顔で話す。

>>  政府が〇二年に定めた「新障害者プラン」では、入院中心から地域生活中心への政策転換を打ち出
>> し、社会的入院患者約七万人についても十年以内の解消を掲げている。先行して二〇〇〇年から退
>> 院促進支援事業に取り組んだ大阪府(大阪市を除く)では、この制度によって六年間で約百三十人が
>> 退院している。

>>  「全国的な事業の効果が出てくるのはこれから」と厚生労働省の担当者はみている。 (佐橋大)




トップ > 暮らし・健康 > 健康一覧 > 記事 【 統合失調症<4> 条件さえ整えば力発揮 】

>> 統合失調症<4> 条件さえ整えば力発揮

>> 2007年6月22日

>>  介護付き有料老人ホームの床を、四人一組の作業員がていねいにモップがけしていく。入所のお年
>> 寄りから「ありがとう」と声をかけられ、はにかみながら会釈する姿も。

>>  四人は、東京都江東区の社会福祉法人「おあしす福祉会」に所属する統合失調症の人たち。昨年十
>> 月から、週四回、各四時間半の清掃を手がけている。都内の老人ホームが人手不足で、清掃が大変
>> だと聞き、同福祉会が契約を取り付けた。

>>  伊藤誠さん(36)も、最初は人と接するのが苦手だったが、最近は、お年寄りの感謝の言葉をうれし
>> く感じるようになったという。

>>  体調は日によって違うが、四人で助け合い、責任を果たしていく姿に、付き添いのスタッフ前野洋幸
>> さんは「引きこもりがちだった人も、働きながら変われるんだと分かりました」と話す。

>>  宮城県栗原市の電装品メーカー、大場製作所では、従業員八十五人のうち八人が精神障害者。うち
>> 六人が統合失調症。八時間就労し、残業も休日出勤もする。定着率もいい。

>>  ほかに雇用を目指し訓練に通う統合失調症患者も四人いる。悩みを抱え込みやすい患者たちを意
>> 識し、悩み相談日を設けるなどの配慮も。社員には障害に関係なく相手の立場を思いやるよう指導し
>> ている。

>>  同社の大場俊孝社長は「精神障害があると働くのは難しいと見られがちだが、支えをきちんとすれ
>> ば十分働ける」と話す。「障害者が働きやすい職場は、健常者にもいい職場」が信念だ。

>>  とはいえ、社会復帰を目指す患者たちの多くは、希望する職場で働けないのも事実だ。

>>  千葉県銚子市の地域活動支援センター「しおさい」。自動車部品などのバリ切りをする人たちは、み
>> んな一般企業の就労を望むが、精神障害者の求人は少ない。事務局長、桜根豊さんは「条件さえ整
>> えば、十分働けるのに」と残念がる。

>>  「ようやく企業も、精神障害者の雇用に目を向けるようになってきた。でも、積極的に雇用に動く企業
>> はまだ少ない」。精神障害者と知的障害者を対象にした職業訓練校「なごや職業開拓校」(名古屋市)
>> の斎藤懸三代表は、こう指摘する。

>>  厚生労働省の研究会が〇三年、企業四百十五社に対し精神障害者雇用の考えを聞いたところ、
>> 「雇用管理がよく分からず、不安なので雇いたくない」と「分からない」が計43%。雇用が進まない背
>> 景には、精神障害に対する認識不足や根強い偏見があるようだ。

>>  国立精神・神経センター精神保健研究所社会復帰相談部の伊藤順一郎部長は、障害者と職場の橋
>> 渡しをする「ジョブコーチ」などの人材の充実が必要だと強調する。

>>  「サポートする人に求めらるのは、『練習のための環境づくり』よりも、実際の職場と障害者をつなぐ
>> 技術だ。地域の企業の事情に精通しながら、本人の希望を聞き、本人の長所を生かせる職場を探し、
>> そこで支える。最初は短時間の仕事、短期間の仕事であっても、支えられながら実際に就労すること
>> は、必ずや患者の自信につながる」と話す。 (佐橋大) = おわり


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