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■ 診察室
診察室の白い扉を開けると、 そこには、一人の若い医師がいた。 毅然としていて、素敵な人だったと思う。 とても、優しい表情をしていた。
私は、椅子に座り、いくつかの質問を受けた。 できるかぎりの理性をもって、今の状況を的確に伝えた。 思ったよりもちゃんと話せる。 ただ、一度も目を合わせることはなかった。 そんな余裕なんてなかった。
初めて会った見知らぬ人に、心開けるはずもなく、 お互いに確かな手応えを掴むことができないまま、 初めての診察を終えた。
どこかで聞いたことのある名の薬を受け取り、 私は病院を後にした。
空は、不自然なほどに青く、 まるで私を嘲笑うかのように、どこまでも晴れていた。 一点の曇りもなく、晴れていた。
早く、家に帰りたかった。 灯りのない、真っ暗な部屋に、帰りたかった。
2006年03月16日(木)
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