こちらでは、ユースケ氏の出演作品の中から、後世に残したいとまで気に入った作品&ここまでこのドラマを食い入るように観てるのって私だけだろうと思ったドラマを、筆者が勝手に必要以上に評価させて頂いています。ネタバレ有です。
「あなたの隣に誰かいる」フジテレビ 腑に落ちぬ点もあれど貴重な絵の宝庫 - 2005年10月25日(火) 「あなたの隣に誰かいる」フジテレビ 2003年秋〜冬 これは放送時に全て録画して鑑賞。 こないだの10月7日の「ホームドラマ!」に関する記事の中にも少し書いたけれど、この「あなたの・・・」には ストーリー上、ちとひっかかる所が多い。 ※欧太郎の、琴音との不倫について、梓はあまりにあっさりしすぎていないか。欧太郎はそんな自分をかなり棚に上げてないか。後半で夫婦の絆が深まる展開なだけに、ちょっとその辺が惜しい。 ※欧太郎の母・志摩子が、鈴のためにと育児に口出しする、その信念が一貫していない気がする。あれでは梓を追い詰めるのが目的なのか孫可愛さゆえなのかはっきりしない。 ※地域住民の迷惑な行動のほとんどはストーリー上の狙いがよくわからない。視聴者を怖がらせたかったから入れたんじゃないかというのもある。 ※数馬は以前に子供のころの梓を黒鳥居に連れて行ったことがあるのなら、なぜその後何年も梓を放っておいたのか。あんなに鬼神出没な割に間が抜けている。わざわざ他の男と結婚するのを待っていたとしたら、なぜそんなリスキーなことをするのか。 ※鈴が監禁されている間にせっかく地下から草間たちが現れたのに、欧太郎たちは、筆談でもいいから助けを求めたりできないのだろうか。そもそも、あの地下から数馬が逃げることが可能なら、外に警察がいなくなるのを待っている必然性が無い。 など、挙げればきりがない。それを考えると、この作品に対する思い入れが半減してしまう。これはキャスティングとは関係ないことだけれど。 しかし、このドラマに関しては、私はそれを気にしないで観ることにした。 ホラーっぽいサスペンスなのに、子育て中の親ならではの生活感がこんなにいっぱいのドラマって、珍しいし。異色だ。 主婦・母親にはおなじみの、「うん、あるある」と思わずうなずいてしまうような悩み。野菜の共同購入を断って気まずいだとか、幼稚園ママのグループ対立だとか、リアルだ。梓が夫と別れる覚悟を決めて家を出る前日に、掃除をしまくり、クリーニング屋さんに行っておき、料理レシピを作り、心置きなく家事をやっておくなんて、わかるわかる。泣かせるよ。 まわりが妖怪じみているほど、梓や欧太郎や鈴の平凡な毎日が可愛らしく、普通の幸せの有難味を感じさせる。 梓と欧太郎が、それぞれ心の隙間に浮気などしてしまったり、ご近所や姑との行き違いなど多々ありながら、最後はいろいろ乗り切って成長し、お互いを理解し、力を合わせて家族の幸せを取り戻すその過程、そこにこそ、このドラマの主題があるのだろう。 そしてユースケ氏のファンとしても、ここは貴重な場面のオンパレードだから。ウチの旦那さん的な親しみのある、欧太郎のこれらのバラエティに富んだシーンを見逃しては大損失だろう。 ☆妻との明るいキスシーン&ベッドシーン ☆不倫相手とのベッドシーンでオッパイにつぶされる ☆娘とのほのぼの入浴シーン ☆隣の奥さんに誘惑されて慌てるシーン ☆嫁姑のいざこざに巻き込まれ困るところ ☆不倫相手のおねだりに戸惑いながら断ろうとする ☆殺人現場の後始末をさせられる ☆妻の陰口を言う近所の奥さん方に啖呵をきる ☆娘や妻と遊園地で良きパパの顔 ☆ちょっとあぶない人たちにボコボコにやられた図 ☆妻の浮気告白にキレて聞く耳もたないシーン ☆人生を食べ物に喩えて妻を励ます ☆妻の浮気現場を押さえてしまって泣きながら逃亡 ☆そんな妻の顔がまともに見られないで一人でアイロンをかけつつ娘の手前普通にふるまう ☆もう許してもいいかなという気分で、妻の顔は見ずに「おやすみ」と口をきく ☆娘と一緒にアップルパイを作ろうと悪戦苦闘する ☆妻を奪った裏切り者の隣人に対してみせる憎悪の表情 ☆鈴は俺の子だーっ!て叫ぶところ ☆妻の友人のたくらみで薬を盛られて死にそうな病床のシーン ☆自分の娘を愛せなくなりそうなときのこわばった表情 ☆娘のビデオアルバムを観て涙ぐむ顔 ☆自分は傷ついても家族を必死で守ろうと、体当たりで蟲の男と戦い抜く、後半の数々の男気のあるシーン つまり、見所満載百貨店である。夫の顔、父親の顔、息子の顔、会社人間の顔、男としての顔、情けない顔、後ろめたい顔、振られた顔、意外とイイとこあるじゃないという顔、勇者の顔、優しい顔、等など、ここでは何でもいろいろ取り揃えてございますね・・・。 ☆中でも特にお勧めシーンとして、私はまず第9話の、ソファに梓と座って話すシーンを挙げたい。 二階の部屋に鈴が数馬の人質に取られている状態。一階の居間のソファで梓が「人間じゃない。あの男は死なないのよ。どうしよう、私たちみんな、殺される!もう逃げられないの!」と恐怖感一杯に訴えたときの、欧太郎の態度のひとつひとつ。 自分も不安なのに、なんとか妻を安心させて包み込むような、勇気を消さないようにと懸命な様子。 梓に対する愛情がもう揺るぎない段階だと感じさせられる。 「(梓を抱き寄せて撫でながら)落ち着け、落ち着くんだよ。」(私、呪われてるのよ。私が、鈴をあんな目に・・・)「それは違う。見ろ、(家族で笑っている写真を手渡して)ここに写ってるのが本当の俺たちだ。絶対ここに帰るんだ。おまえと鈴は、俺が絶対守る。(梓の髪を撫でて少し笑ってみせる)また、遊園地に行こうな。(そして立ち上がり、数馬と鈴のいる二階をしっかり見据えるように視線を上げる)」俺は蟲姫物語なんか絶対に信じないぞ、家族は絶対俺が守るぞ、と、目がものすごく言ってるシーン。 そして、 ☆次にお勧めなのは最終回、森の中での格闘。斧を振り下ろしてくる数馬に、足に大怪我しながらもタックルし、梓と鈴を逃がそうと必死な欧太郎。このとき欧太郎は何の武器ももってないし、怪我してるし、腕力でもそうとう数馬にかなう訳がない。そして相手は不死身の妖怪。明らかに無茶だし、殺されるに決まっているのだけれど、愛ゆえに「死んでも離さない」という強い思いが奇跡を呼ぶ。そしてこんな底力を発揮するときユースケ氏は逆八の字の眉なのだ。普段八の字眉だからこその、逆八バンザイ!VIVA逆八!である。 そして何もかもが欧太郎と対照的な、この世のものでない蟲の男・数馬(=駿介)、これを演じた北村一輝も凄かった・・・。 家宝にしようとまではいかないけれど、ある意味で手放せない作品、それがこのドラマだ。 -
|
|