月に舞う桜

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2019年06月03日(月) 気になる記事など

◆浅田真央さん「ああ、幸せだな」引退して気づいたこと(2019.5.27 朝日新聞DIGITAL)
https://www.asahi.com/articles/ASM5Q3T0SM5QUPQJ005.html?iref=pc_ss_date

強くいなければならない状態は、決して不幸とは言えないかもしれないが、幸せではないよね。
それにしても、これまで数々の「一流成功者」たちが、言い方は違えど同じような心情を語ってきたのに、こういう状況がなかなかなくならない。
それは、頂点を極めるために不可欠な道のりだからというより、一流の人々に過剰に期待し、彼らの苦痛の先にある感動を求め、何かの役割を果たさせようとする私たちの問題ではないかと思う。

「全国各地を巡るアイスショー「浅田真央サンクスツアー」を約1年前に始めて、「ああ、幸せだな」と思えるようになりました。そう感じたのは初めてです。選手のときは、大変だなと思うことが徐々に増えて、幸せだなと思えることがなくなってきてしまっていました。/たくさんの応援やメダルを獲得するのは、うれしいことではありました。でもうれしいは「強い」からこそ得られる。一方で、幸せは「柔らかい」ものじゃないですか。選手のときはそこまで気持ちが柔らかくありませんでした。強くないと自分に負けてしまうので、幸せだと考える暇がありませんでした。/15歳のシニアデビューの頃までは、すごく楽しかったです。シニアに上がってからは、心から楽しいとは思えなかったです。」
(シェアした記事より引用)

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ある種の「期待」は、相手に対する「支配」だ。その「支配」は明確な物理的暴力ではない分、抗いづらく、抗うにあたり周囲の支援も得にくい。だから「期待」される人は孤独に陥り、押しつぶされる。
(もちろん、期待が真に人を励まし、力付けることがあるのは否定しない)

この「期待=支配」の構図は障害者のリハビリにも言えることで、障害者は本人が治りたいと願うのとは別に、家族や社会から治ることを「期待」されてリハビリを受け(させられ)ることがある。
その「期待」は「あなたのため」という顔をしつつ、「あなたは治るべき」との支配的メッセージを発している。

そして「期待」する側は、リハビリを受け(させられ)る障害者当人の身体的・肉体的苦痛や時間的コストを無視するか、低く見積もりがち。
このあたりは立岩真也先生の『不如意の身体』等に言及がある(立岩先生は「支配」という言葉は使っていなかったと思うが)。

●上西充子さん(@mu0283)のツイート
「期待」を伝えることも「不安」を伝えることも「規範」を押し付けることも、どれも自分の都合なのだ。自分の言いたいことだけを言い、自分の求める方向に相手を変えようとしている。それを相手がどう受け止めるかについての想像力を欠いた「期待」は、人を縛り、押しつぶす。
https://twitter.com/mu0283/status/1135368286026194944?s=20

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◆桜田氏「子ども最低3人産んで」前五輪相、少子化問題で発言(2019.5.29 livedoor NEWS)
http://news.livedoor.com/article/detail/16536936/

政治家が「子どもを最低3人は生んで」と言ったやつ、そもそも他人の生殖に(特に国家は)口を挟むべきではない、という基本を忘れてはいけない。
一番の問題は、そこですよ。

「子どもを最低3人産んで」は、たしかに女性への侮辱だし、妊娠・出産をリスクと見なされて入試や就労で差別されたり、保育園に入れずキャリアを諦めなければならなかったりする現状を改善するのが政治の役割だろ、というのはその通り。
その通りなんだけど、何が一番の問題なのかを見誤ってはいけない。

たとえ一切の差別がなくなり、キャリアをめぐる不利益が完全に解消されたとしても、他人に対して子どもを産むとか産まないとか何人産むとか、そういうことをとやかく言ってはいけないんですよ。

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●日本に欠けていると思うもの1位「男女平等」、2位「外交力」 誇れるもの1位は「アニメ」、18歳意識調査(2019.5.30 キャリコネニュース)
https://news.careerconnection.jp/?p=72393

日本に欠けていると思うもの?
そりゃあ、人権意識と人権意識と人権意識と……(以下エンドレス)

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人の心を壊す言葉。(ツイッターより)
(他人のツイートをそのまま紹介するだけですが、ものすごく印象的だったので)

●Nikovさん(@NyoVh7fiap)
人の心を壊すのは簡単で、「無理しないでね」「何かあったら言ってね」と言いながら、「もう無理です、しんどいです」って言ったときに、「大丈夫」「あなたならできる」と励まして突っぱねることで、もう助けを求めなくなる。
https://twitter.com/NyoVh7fiap/status/1134995096040947713?s=20

●大阪名物パチパチ弁護士さん(@obpmb3fN93mQI9i)
もっと簡単な人の心を壊す方法があるで。
同様の状況になったときに
「甘えてたらあかん」
「あんたよりもしんどい人間いくらでもいるんや」
「ネガティブなことばっかりいってたらあかんで」
「幸せやと思わんと」
などと気持ちを否定すること言いまくるんや。
https://twitter.com/obpmb3fN93mQI9i/status/1135015173851238400?s=20

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◆元農水次官「迷惑かけたくないと思った」長男殺害容疑(2019.6.2 朝日新聞DIGITAL)
https://www.asahi.com/articles/ASM6252T4M62UTIL00Q.html?iref=pc_ss_date

元官僚による息子殺害事件に関し、殺された息子さんの生前のツイートをテレビが「こんなツイートを!」的に垂れ流してるけど、被害者の人物像をああいう視点で見せるのは「殺されても仕方なかった」と言っているようで、やめて欲しい。
殺してしまった/殺されてしまったことを肯定しているように見える。
それが一見、加害者への同情からくるものであっても、結局は社会の課題を放棄して「不穏な人間は、迷惑をかける前に家族が”処理”するべき」という家族責任論に行きついてしまうのでは?
あの息子さんも、絶対に殺されてはいけなかった。そこを出発点にしないと、社会は変えられない。
亡くなってから、あんなふうにツイートを紹介するなんて、卑怯だ。


桜井弓月 |TwitterFacebook


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